2016 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティック制御によるヒトTERT遺伝子制御機構と細胞不死化獲得機構の解明
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16K15055
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
西野 光一郎 宮崎大学, 農学部, 准教授 (90508144)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / TERT遺伝子 / 細胞不死化機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
体細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)への形質転換時における細胞不死化はテロメア伸長に関わるTERT遺伝子の発現獲得と大きく関係している。我々はヒトTERTプロモーター領域にヒト多能性幹細胞特異的DNAメチル化可変領域(TERT-DMR)を同定したが、ヒトiPS細胞樹立時におけるTERT-DMRと発現獲得機構の関連については明らかとなっていない。本研究では、TERT遺伝子のエピジェネティック発現制御機構の解明を目的とし、平成28年度は、クロマチン構造解析、Hyper sensitive assay、メチル化EMSAを行った。ヒストン3リジン4のトリメチル(H3K4me3)およびヒストン3リジン27のトリメチル(H3K27me3)修飾を解析した結果、H3K4me3がヒトiPS細胞において豊富に認められた。また、ヘテロクロマチン蛋白、HP-1αがTERT非発現のTERT-DMRに認められ、TERT発現では認められなかった。ヒトES、iPSおよび体細胞におけるDNase I Hyper sensitive assayのデータを解析した結果、TERT発現細胞のTERT-DMRにHyper sensitive siteが存在し、オープンクロマチンであることが明らかとなった。さらに、TERT-DMRに結合する蛋白の探索を行ったが、TERT-DMRのメチル化に特異的に結合する因子は検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クロマチン構造解析、Hyper sensitive assay、メチル化EMSAを実施することができ、順調に結果の蓄積が出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
クロマチン構造解析、Hyper sensitive assay、メチル化EMSAの結果から、TERT-DMRのメチル化を介したヒトTERT遺伝子の発現制御は、DNA-Protein結合を介さない制御機構の存在が示唆される。今後解析手法と解析対象を増やしメチル化TERT-DMRと相互作用をする因子の同定を進める。
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Causes of Carryover |
実験の進捗状況および消耗品の使用状況から、次年度に消耗品費を購入するために260,885円を繰り越すことが適切であると判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品費として使用する。
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