2017 Fiscal Year Annual Research Report
Researches on green space management technologies for the eradication of Argentine ants
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16K15080
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
澤畠 拓夫 近畿大学, 農学部, 准教授 (80709006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早坂 大亮 近畿大学, 農学部, 講師 (20583420)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 侵略的外来種の生態防除 / 不快害虫の増殖を防ぐ緑地環境 / 緑化と外来生物の関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
侵略的外来種アルゼンチンアリについて、神戸港に生息する4つの遺伝型に関連した攻撃性の違いを基礎に、1)遺伝型と攻撃性に関連した食性とその地域間差異、2)街路樹や緑地帯における植生の違いが、そこに生息するアリマキ等の餌動物個体数とアルゼンチンアリの個体数に及ぼす影響を明らかにし、これらの結果を踏まえ3)アルゼンチンアリの餌資源の間接的な供給源である植生の管理方法について考察した。 1)遺伝型と攻撃性に関連した食性とその地域間差異について調査した結果、アルゼンチンアリの食性と攻撃性との関連は見出されなかったが、地理的に広い分布域を有するJ-mainと、その次に広い分布域を有するKobe Bは4集団内で最も広い食性幅を有する傾向があり、生息場所によって食性をシフトさせる柔軟性を有することが示された。これはアルゼンチンアリの侵略力の集団間差異を一部説明し得るものである。 2)街路樹や緑地帯における植生の違いが、そこに生息するアリマキ等の餌動物個体数とアルゼンチンアリの個体数に及ぼす影響についての調査結果、アルゼンチンアリの利用個体数は、樹種および草本種間で有意に異なり、本種に利用されにくい樹種(クス・イブキ)と草本種(チガヤ・シバ)の存在を明らかにすることができた。反対に、シャリンバイ、キョウチクトウ、セイダカアワダチソウではアリマキの宿主として、ヤマモモはアルゼンチンアリの越冬木となっており、これらの樹種転換や草本の刈り払い等による植生管理の必要性が示された。 3)アルゼンチンアリの餌資源の間接的な供給源である植生の管理方法について考察:本研究はアルゼンチンアリの生態防除に関する世界でも類を見ない研究である。本研究により明らかとなったアルゼンチンアリに利用されやすい植物種の徹底防除と利用されにくい植物種への転換を進めることで、本種の増殖しにくい環境づくりが可能となると期待される。
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