2016 Fiscal Year Research-status Report
c-di-GMP搭載脂質ナノ粒子と抗PD-1抗体による複合的がん免疫療法
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16K15102
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 孝司 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (20604458)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 薬物送達学 / がん免疫療法 / 脂質ナノ粒子 / アジュバント / 免疫チェックポイント阻害剤 / STING |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、STING(stimulator of interferon genes)経路リガンドであるcyclic di-GMP(c-di-GMP)を搭載した脂質ナノ粒子(LNP)(cdGMP/LNP)の最適化を行った。これまでは独自脂質YSK05を主成分とするLNPを使用していたが、c-di-GMPの搭載効率が低いという問題があった。そこで、高いpKaを有する第2世代YSK脂質であるYSK12-C4を導入した。YSK12-C4を主成分としたLNP(YSK12-LNP)にc-d-GMPを搭載することで2倍以上の搭載効率の上昇に成功した。また、YSK12-LNPの脂質組成の最適化をin vivoのI型IFN産生を指標に行った。続いて、最適化したcdGMP/YSK12-LNPをルシフェラーゼ発現マウスメラノーマB16-F10-luc2細胞を尾静脈内投与して作成した肺転移モデルに静脈内投与することで抗腫瘍活性の評価を行った。cdGMP/YSK12-LNP投与群では、コントロール群と比較してメラノーマのコロニー数の顕著な減少とルシフェラーゼ活性の有意な低下が認められ、cdGMP/YSK12-LNPが強力にがん免疫を誘導可能ながんアジュバントシステムであることが示唆された。以上のことから、平成28年度の目標であったcdGMP/LNPの最適設計を実現した。 現在は、最適化したcdGMP/YSK12-LNPと抗programmed cell death 1抗体との併用による抗腫瘍活性の評価を進めており、期待の持てる成果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
STING(stimulator of interferon genes)経路リガンドであるcyclic di-GMP(c-di-GMP)を搭載した脂質ナノ粒子(LNP)(cdGMP/LNP)の最適化を行い、当初の計画通りにナノ粒子の物性改善とin vivoでの最適組成を決定することができた。また、最適化したcdGMP/LNPは強力な抗腫瘍活性を示した。以上のことから、予定通りの進捗と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に最適化したcyclic di-GMP(c-di-GMP)を搭載した脂質ナノ粒子(LNP)(cdGMP/LNP)と抗programmed cell death 1(PD-1)抗体との併用による抗腫瘍活性の評価を行う。抗原性の異なるがん種や転移モデルなど、いくつかのがんモデルにおいて有効性を評価する予定である。組織切片の蛍光免疫染色などを行うことで、腫瘍内で起こっているがん免疫応答メカニズムを調べる。
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