2016 Fiscal Year Research-status Report
がんのワールブルグ効果における炎症シグナルと増殖シグナルの機能的相互作用
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16K15117
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
櫻井 宏明 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (00345571)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん / 細胞 / シグナル伝達 / 糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト肺がん細胞株A549(KRAS活性化変異)およびPC-9(EGFR活性化変異)を用いて、EGFおよびTNF-αをそれぞれ単独および同時刺激によりPKM2のリン酸化の変動をウェスタンブロット法により検討した。リン酸化部位としては、これまで報告のある部位であるSer-37およびTyr-105に対する市販抗体を用いた。その結果、TNF-αにより若干Ser-37リン酸化の変動が確認されたが、その変動幅は小さかった。また、EGFによってはあまり変動しなかった。Tyr-105は刺激前から強くリン酸化されているか、あるいは抗体がうまく反応していない可能性が考えられたことから、抗体反応の条件検討を行っている。 部位特異的なリン酸化抗体で結果がうまく得られなかったことから、リン酸化部位の特定はできないが、リン酸化の有無を検討することを目的に、リン酸基補足分子であるPhos-tagを用いた電気泳動法を導入してウェスタンブロット解析を行った。しかしながら、この場合においてもEGFおよびTNF-α刺激下においてリン酸化の検出ができなかった。そこで、PKM2は核移行するとの報告があるため、現在細胞を分画して検討を行っている。さらに、培地中のグルコース濃度を変化させた場合の検討を開始した。HeLa細胞の場合は、適当なグルコース濃度の設定が可能であることがわかってきた。こうした基礎的な検討により、質量分析計によるメタボローム解析を実施するための条件検討を進め、来年度に実施できるように努めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
報告されている論文の再現性が得られず、PKM2のリン酸化制御の検出に向けて様々な条件検討を開始しているため、プロテオーム解析を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
PKM2のリン酸化制御機構を解析する上で、新たなリン酸化部位の同定やその機能解析を重点的に進めることが必要であることがわかったため、その解析を重点的に進めることとし、メタボローム解析については少し先送りすることとした。条件等が定まった場合には、メタボローム解析は学内での共同研究等により実施可能なことに限定して行うことととした。
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Causes of Carryover |
初年度に実施する予定であったプロてオーム解析(受託解析)に充てる費用が、条件検討に時間を要しているため次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プロテオーム解析にが実施可能であれば、予定通り行う。受託解析をするための費用確保できない場合は、条件を絞り込んで学内機器で実施することを検討する。
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