2017 Fiscal Year Annual Research Report
Functional interactions between inflammatory signal and growth singaling in the Warburg effect in cancer cells
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16K15117
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
櫻井 宏明 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (00345571)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん / 細胞 / シグナル伝達 / 糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、A549細胞などを用いてPKM2のリン酸化制御の検討を行った。培地中のグルコース濃度の検討を行ったが、PKM2のリン酸化をうまく検出することができなかった。また、Phos-tagゲルを用いた検討においても、リン酸化を示すバンドシフトは観察できなかった。したがって、このような実験系を用いてメタボローム解析を実施しても意味のある結果が得られないと判断し、当初の目的を断念した。 そこで、体内のストレス防御反応において中心的な役割を果たす転写因子Nrf2を活性化する低分子化合物であるバルドキソロンメチルに焦点を当て、そのグルコース代謝および細胞遊走能に対する効果を検討した。ヒト乳がん細胞株MCF7細胞にバルドキソロンメチルを添加すると、細胞の遊走能とミトコンドリア呼吸が抑制された。実際、Nrf2の標的遺伝子のGCLCやUCP1のmRNA発現が変化していた。さらに、バルドキソロンメチルは酸素消費量などを測定し、解糖能や酸化的リン酸化の両方を抑制することがわかった。その時、ミトコンドリアの活性酸素ROSの増加や細胞内の還元型グルタチオンの減少が認められた。このミトコンドリア活性は、N-アセチルシステインで抑制されたことから、ROSが重要な役割を果たしているがわかった。一方、パルミチン酸も同様にミトコンドリアROSの増加、細胞遊走や酸化的リン酸化を抑制したが、N-アセチルシステインで抑制されなかったことから、異なる経路の存在が示唆された。以上の結果から、バルドキソロンメチルによる細胞遊走能の抑制は、解糖系やミトコンドリア機能の阻害によると考えられた。
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