2017 Fiscal Year Research-status Report
CALHMチャネル機能を基盤とした感覚情報伝達機構の新規概念の構築
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16K15181
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
樽野 陽幸 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20706824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加塩 麻紀子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20631394) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イオンチャネル / 神経伝達 / 翻訳後修飾 / 味覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、我々が最近発見した新規電位依存性ATP放出イオンチャネルCalcium Homeostasis Modulator (CALHM)の機能を基盤とした感覚情報伝達機構を、遺伝子改変動物を用いて微視的かつ包括的に探索・解明することである。昨年度より、ポア形成サブユニットCALHM1およびCALHM3のノックインマウス・抗体の作成を行い、これらをもちいた生体内での組織学・生化学・生理学的解析を行ってきた。 本年度、CALHM1については、内在性CALHM1タンパクにV5エピトープタグを付加し、さらに発現細胞でCreリコンビナーゼを発現するCALHM1-V5-IRES -Creマウスを用いて、味蕾細胞に発現しているCALHM1タンパクの生化学実験を行い、S-パルミトイル化修飾およびN型糖鎖修飾を受けていることを明らかにし、さらにこれらの翻訳後修飾のチャネル機能・局在への影響を明らかにすることができた。また、同マウスおよびモルモットで作成したCALHM1抗体を用いて、味蕾内におけるCALHM1チャネル局在を初めて明らかにすることができた。CALHM3については、昨年は作出したCALHM3-tdTomatoマウスでCALHM3発現細胞おけるtdTomatoの発現検出が困難であったが、この問題も解決し、今後CALHM3の全身における発現および機能解析を円滑に進めていく準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、サブユニットCALHM1およびCALHM3に関する遺伝子改変動物(CALHM1-V5-IRES-CreマウスおよびCALHM3-tdTomatoマウス)におけるチャネル分子の検出、発現細胞の検出ができるようになり、すでに2種類の翻訳後修飾による生体内チャネル機能調節機構を明らかにすることができた。さらに、味細胞における特殊なCALHMチャネル局在を明らかにし、味細胞に特殊な化学シナプス構造を明らかにすることができた。一方で計画していたCALHM1-V5-IRES-Cre;CALHM3-tdTomatoダブルノックインマウスは、オフターゲット挿入により進捗が大幅に遅れている。しかし、すでに確立した2系統のマウスで今後、機能解析を進めていくことができるので、全体として概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した遺伝子改変マウスモデル(CALHM1-Cre-IRES-V5マウスおよびCALHM3-tdTomatoマウス)を用いて、CALHM1およびCALHM3が発現する組織を網羅的に解析し、見つけた発現組織における機能解析を進めていく。またすでに知られている発現組織において、培養細胞では見られない特殊なチャネル局在を見出したので、生体内での局在制御機構の解析も合わせて進めていく。
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Causes of Carryover |
実施状況報告書に記した通り研究計画に若干の遅れがあり、それに伴って助成金の使用を来年度に一部繰越して、来年度分の助成金と合わせて研究を完遂することを目指しています。
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Research Products
(12 results)