2016 Fiscal Year Research-status Report
抗MHC抗体産生による新たな抗原特異的T細胞応答制御機構の解明
Project/Area Number |
16K15290
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒瀬 尚 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10261900)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 免疫制御 / 抗体 / MHC |
Outline of Annual Research Achievements |
MHCクラスII分子は、ペプチドをヘルパーT細胞に提示することで、免疫応答の中心的な役割を担っている。特定のHLAクラスIIアリルは、関節リウマチをはじめ多くの自己免疫疾患の感受性を最も強く左右するため、HLAクラスIIがどのように自己免疫疾患に関与するかを解明することが重要である。しかし、HLAに提示される抗原を含めてそのメカニズムは依然として明らかでない。一方、T細胞レセプターはペプチドとMHCの双方を認識することによって、MHC拘束性を示す。以前より、T細胞レセプターと同様にペプチド・MHCクラスII分子複合体を認識するモノクローナル抗体は知られており、それらは、MHCによる抗原提示機構の解析のツールとして使われてきた。しかし、通常の免疫応答では、そのような抗体が産生されるかどうかは解析されておらず、免疫学的な機能はほとんど解析されてこなかった。ところが、ある種の免疫応答では、ペプチド/MHCクラスII分子複合体に対する抗体がされることが明らかになった。そこで、本研究では、抗ペプチド/MHCクラスII分子複合体抗体の産生機序を解明し、抗ペプチド/MHCクラスII分子複合体抗体の機能の解明を目的とした。その結果、ペプチドの種類によってペプチド/MHCクラスII分子複合体に対する抗体が産生されるようになることが判明した。従って、ペプチドによるペプチド/MHCクラスII分子複合体に対する抗体産生機構をさらに解析することによって、免疫応答におけるペプチドや抗体の機能がさらに明らかになると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ペプチド/MHC複合体に対するモノクローナル抗体を樹立して抗ペプチド/MHC複合体抗体の機能を培養細胞レベル、マウス個体レベルでの解析を予定したが、樹立したモノクローナル抗体の親和性が想定していたほど高くなかった。そこで、再度モノクローナル抗体を作り直す必要が生じたため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ペプチド/MHCクラスII分子複合体に対する抗体の産生機構やその機能をさらに研究することによって新たな免疫制御機構が明らかになることが考えられる。そこで、今後は、ペプチド/MHCクラスII分子複合体に対する抗体の詳細な産生機構や機能を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
ペプチド/MHC複合体に対するモノクローナル抗体を樹立して抗ペプチド/MHC複合体抗体の機能を培養細胞レベル、マウス個体レベルでの解析を予定したが、樹立したモノクローナル抗体の親和性が想定していたほど高くなかった。そこで、再度モノクローナル抗体を作り直す必要が生じたため、研究遂行に予想外の時間がかかったために、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
モノクローナル抗体を作り直すために必要な器具等の購入に充てる。
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