2019 Fiscal Year Annual Research Report
An experimental study of biases affecting end-of-life medical decisions based on behavioral economics
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16K15302
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木澤 義之 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (80289181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 達也 聖隷クリストファー大学, 看護学研究科, 臨床教授 (70513000)
吉田 沙蘭 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (70636331)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アドバンス・ケア・プランニング / 行動経済学 / バイアス / フレーミング |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度には、アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning; 以下ACP)に対する準備状態が,予後告知の仕方や,ACPについての説明のフレームによって,どのように異なるかを探索的に明らかにするための調査を行なった。 1年以内にがん治療を受けた者824名を対象として調査を実施した。予後告知4群(予後を伝えない,「月単位」と伝える,詳細な統計データを示す,活動レベルの変化の見通しを示す)と,ACPの説明2群(ACPをすることの利得,ACPをしないことの損失)の,計8群にランダムに割り付けてシナリオを提示した。 予後告知については,①「予後を伝えない」群は他の3群と比較して「予後に対する不確実性」が高く,②「予後を伝えない」群は「活動レベルの変化の見通し」群と比べて「医師の共感性」の評価が低いという結果が得られた。またフレーミングについては,「損失フレーム」群が「利得フレーム」群と比較して「予後に対する不確実性」が高いという結果が得られた。しかし,本研究の主要評価項目である「ACPに対する準備状態(どの程度ACPに関連する行動をとろうと思うか)」については,予後告知の方法,フレーミング共に,群間で有意な差がみられなかった。 予後告知がACPに対する準備性に影響しないという結果は従来の病状理解を基盤とする考え方に反する結果であり,ACPの導入に関して,正確な病状理解を促す以外のアプローチが必要である可能性が示唆されたと考えられる。ただし,本研究では,「あなたがこのシナリオの患者だとしたら,ACPに関連する行動をとろうと思うか」という設問を用いていたが,高度な認知的処理を要求するものであるため,十分に結果が反映されなかった可能性,また,フレーム操作に用いたシナリオが長文であり,短文が推奨される行動経済学的介入に適していなかった可能性も考えられる。
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Research Products
(3 results)