2017 Fiscal Year Research-status Report
緩和ケア及び看取りにおける意思決定プロセスの倫理的・法学的側面に関する探索的研究
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16K15306
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
熊澤 利和 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (90320936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 聡 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (10435183)
ゴウホリ ヨゼフ 淑徳大学, その他部局等, 准教授 (80611152)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 意思決定支援 / アドバンス・ケア・プラン ニング / 診療契約 / decision making / 意志の推定 / 同意 / 同意権者 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)アドバンス・ケア・プランニング、意思決定支援に関連する調査について ①A病院の研究倫理審査の承認を得て、A病院の患者相談場面における参与観察を行った。合計5例についてデータが得られ分析中である。②訪問ナースステーションでの調査について、本学の研究倫理審査の承認を得て、B訪問ナースステーションで、後ろ向き調査を行った。調査は継続中である。現時点では3例目である。データは、分析中である。 (2)チェコ共和国でのヒアリング調査等の実施 ①緩和ケアセンター(プラハ)心理学、医学、法学を専門とするメンバーとACPを中心に議論を行った。②FNHK カレル大学フラデツクラーロヴェー病院(在宅ホスピス)病棟見学、この病院の使命について説明を受けた。次いで在宅ホスピスを専門医師へヒアリングを行った。「全体の業務の中で、50%はコミュニケーション、とても重要であり、決して症状緩和だけではない。」と言われていた。③聖アネシュカホスピス、1996年設立。セントクリストファーホスピスに学んで作った。ICについては、細部まで確認しておく。意思確認ができないときに、24時間以内に裁判所に連絡し、裁判官にきてもらう。ADやACPは、特に使っていない。 臨床において、ACPについて重要な点は、患者、家族、医師等の意思決定にかかる「時間(スピード)」が異なる点が課題である。 (3)医師の「治療中止」について、終末期医療において本邦の法的規範について、一般法、特定法は、存在しないが、裁判所によって示された規範やガイドラインといった「行動規範」は存在する。もしこの「行動規範」によって終末期医療の内容が決まるとするならば、医師の行動規範をどこまで求めるのか、課題である。また前年度議論をしてきた、ドイツ民法典の診療契約等で示される医師の行動規範から、わが国の医師の「行動規範」を捉えると不明確な部分が多数残されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アドバンス・ケア・プランニング、意思決定支援に関連する調査については、おおむね順調に進展しているが、データ分析が遅れている。また、新年度、意思決定支援に関連する調査において、新規に協力していただける病院との調整が終わった。今年度、診療場面における参与観察で得られたデータを含め、分析を行う予定である。 ドイツ民法典、わが国における終末期医療の「治療中止」に関する法的アプローチについての考察等は、順調であり、最終年度、調査結果を踏まえながら、総括できるようにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)アドバンス・ケア・プランニングに関連する調査 ①国内調査は、訪問ナースステーションにおける調査を継続する。②新規に調査について協力が得られた病院があり、調査を実施する。③チェコ共和国において調査は、現在調整中であり、考察の幅を広げるためにも実施したい。具体的には、a)緩和ケアセンター(プラハ市内)b)在宅ホスピス ツェスタ・ドムー(プラハ市内)の協力を得る予定である。 (2)「ドイツ民法典603a~630h条」に関する文献の翻訳及び国内文献収集について、「患者の同意」「患者の意志」「患者の意志の推定」「同意権者」に関する規定部分について検討を重ねる。 (3)日本国内における「宗教性を排除したケアを宗教者が行なうこと」の問題に関する調査を実施する。 (4)decision makingをキーワードとするpalliative careに関する文献検討は、このまま継続する。
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Causes of Carryover |
(理由)現在までの進捗状況に記載をしたとおり、研究の進展としてはおおむね順調である。しかし研究費の次年度使用額に繰り越した額が生じたことについては、調査に際して日程的に調整が難しいかったこと等が要因である。 (使用計画)今後の研究の推進方策に記載をしたが、当初の予定である(1)日本国内における「宗教性を排除したケアを宗教者が行なうこと」の問題に関する調査を実施する予定である。次いで、(2)「ドイツ民法典603a~630h条」に関する文献の翻訳及び国内文献収集について、「患者の同意」「患者の意志」「患者の意志の推定」「同意権者」に関する規定部分について、文献収集と検討を重ねる。加えて、(3)アドバンス・ケア・プランニングに関連する調査について、新規に調査について協力が得られた病院があり、調査を実施する。(4)チェコ共和国において調査は、現在調整中であり、考察の幅を広げるためにもa)緩和ケアセンター(プラハ市内)b)在宅ホスピス ツェスタ・ドムー(プラハ市内)の協力を得る予定である。
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Research Products
(4 results)