2016 Fiscal Year Research-status Report
あらゆる放射線外部照射の治療計画が可能なオールモダリティ治療計画システムの開発
Project/Area Number |
16K15343
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
熊田 博明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30354913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米内 俊祐 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 加速器工学部, チームリーダー(定常) (00415431)
高田 健太 筑波大学, 医学医療系, 助教 (10640782)
石川 仁 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70344918)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | モンテカルロ計算 / 放射線外照射 / 治療計画 / 中性子捕捉療法 / 陽子線 / 炭素線 / X線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は、単一の治療計画システムで放射線外照射に用いられている4つの放射線:X線、陽子線、炭素線、中性子線(BNCT)の線量評価/治療計画を実施できるシステムの基盤技術開発を目的としている。治療計画システムには筑波大学で開発中のBNCT用モンテカルロ治療計画システム:ツクバプラン(開発コード)を用い、計算コードにはPHITSを採用している。4つの放射線のうち、まず中性子線については、既に3つのBNCT施設:京都大学原子炉実験所KUR、日本原子力研究開発機構JRR-4、筑波大学加速器施設iBNCTの線源とビーム孔周辺のジオメトリを作成し、ツクバプランに組み合わせている。それぞれの線源とジオメトリと検証を実施した。それぞれの線源と施設モデルに対してビーム孔位置に水ファントムを配置し、中性子ビーム照射実験を再現して、ファントム内の熱中性子束分布を求め、実験値との比較評価を行った。この結果、実験値に対して統計誤差及び実験誤差の範囲内で一致し、中性子(BNCT)に対する線量評価を実施できることを確認した。 次にX線治療、及び、陽子線治療に関する検討を行った。両治療装置として、筑波大学に導入している陽子線治療装置とX線治療装置のジオメトリ情報と線源情報をPHITSで作成し、それぞれの治療施設で過去に実施したファントム実験体系をPHITSで再現して線量計算を行い、実験値と計算値との比較を行った。この結果から陽子線治療についてはビームエネルギー:200MeVについてはすべてのSOBPに対して実験値とほぼ一致する計算結果を得られることを確認した。X線照射についても単純体系では計算値と実験値で一致することを確認した。4番目の放射線である炭素線については分担研究者(米内)が放医研の実験施設の情報を収集しており、独自でのモンテカルロ計算は完了できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では中性子線と陽子線に関して線源とジオメトリモデルを製作し、平成29年度に検証を実施する計画であった。またX線と炭素線については平成29年度第1四半期までに線源とジオメトリモデルを作成し、第2~3四半期に検証を実施する計画であった。実際には陽子線、X線についてはファントム照射体験による比較検証を平成28年度中に開始でき、当初計画よりかなり進展した。一方、炭素線については放医研のジオメトリと線源の取得、及び、実験データの取得を実施しており、こちらは当初計画通りである。 データの授受を行うためにツクバプランにDICOM-RTフォーマットによるインプット出力機能を開発して実装する作業、及び、外部のDICOM-RTフォーマットのデータを取り込む機能の開発については、X線治療用システム:XiO、及び、支援ツール:MiM のDICOM-RTデータのフォーマットを解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は本研究の最終年度となるため、4つの放射線治療のジオメトリと線源を構築し、ツクバプランに組み合わせる。既に平成28年度に中性子線(BNCT)とX線と陽子線はほぼ完成しているため、この3つの線源をツクバプランに組み込む。X線と陽子線はPHITSでの検証は実施しているが、ツクバプランを通しての線量評価はまだ実施できていないため、平成29年度上期中に検証を実施する。 炭素線については放医研の実験設備の線源とジオメトリ情報をPHITSフォーマットで作成してツクバプランに組み合わせる。続いて放医研で実施されたファントム照射実験をツクバプランで再現して炭素線照射シミュレーションを行い、実験値との比較検証を行う。 また、ツクバプランにDICOM-RTの授受機能を開発して組み込む。筑波大学が所有している陽子線治療計画システム:VQA、X線治療計画システム:XiO、及び、MiMからのDICOM-RT Structureデータを読み込み、各放射線治療計画システムで作成した計算モデルをツクバプラン上で再現できることを確認する。この計算モデルに対して、X線、陽子線、炭素線のそれぞれの線源を使って輸送計算を実施する。 これら一連の研究開発活動によりツクバプランを使って、4つの放射線治療の線量評価を実施できることを確認する。
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Causes of Carryover |
当初計画ではモンテカルロ輸送計算用に専用のワークステーション(物品費)を購入整備して計算解析を実施する計画であったが、試験計算的に大学の並列計算機を利用して多くの計算を実施して研究を実施できた。線量計算の見通しを得たため、ワークステーションの整備は平成29年度に整備して解析を実施することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「理由」で書いた通りモンテカルロ輸送計算用のワークステーションを平成29年度に購入整備して解析を加速的に実施する。
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Research Products
(13 results)