2017 Fiscal Year Research-status Report
手術場における麻酔関連アラームのリスク低減と新たなモニタリングシステム構築
Project/Area Number |
16K15396
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
柿沼 孝泰 東京医科大学, 医学部, 臨床講師 (80366111)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦松 雅史 東京医科大学, 医学部, 講師 (00617532)
関根 秀介 東京医科大学, 医学部, 講師 (10384976)
藤澤 由和 宮城大学, 事業構想学群(部), 教授 (70387330)
小松原 明哲 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80178368)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 医療管理学 / アラーム / 医療安全 / 麻酔科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
欧米での知見によると早急に処置が必要とされるアラームの発生割合は、全発生件数の数%に満たないとされ、医療従事者らに、アラームに対する注意を喚起しない習性が生じ易い状況にある。そこで本研究は、周術期、特に様々な医療機器が混在する手術室におけるアラーム機能を備えた医療機器のもつアラームに関するリスク課題を、医療従事者と機器の相互の視点から、実証的に明らかすることを具体的な目的とし、当該年度においては、下記の内容を実施した。 まず手術場における生体アラームの発生時間、頻度などに関して定量的なデータの収集を試みた。具体的には、手術室における麻酔器、生体情報モニターにおける術中のアラーム発生に関するデータを対象とし、全身麻酔と局所麻酔それぞれについてデータの収集を試みた。 また術中のアラームに対して、麻酔科医がどのような対応および判断を行っているかに関して、データを収集するための仕組みを構築し、データ収集を試みた。具体的には手術時モニタリング用シミュレーション動画を作成し、この動画を視聴した麻酔科医らのアイトラッキングの軌跡に関する情報を収集した。結果として、一定程度の精度でのデータの収集が可能であることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度において予定していたディバイス開発に時間を要したため、遅れが生じてきており、その結果として、当該ディバイスと同時に用いる予定の、アイトラッキングを用いたシステムとの統合に時間を要し若干の遅れが生じた。そのため、当初は麻酔科医を対象とした解析をおこないうるに足る一定量のデータを取得する予定であったが、現時点では十分なデータの確保ができてない状況にあるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
麻酔科医がアラームをどのように判断したのかを記録するタイムスタンプシステムとアイトラッキングを用いたシステムとを統合したシステムを構築し、解析をおこないうるに足る一定量のデータを取得する。さらにこれらのデータを解析するとともに、それらに基づいたフィードバックシステムの仕組みを検討する。加えて、調査対象者である、麻酔科医らに対して、インタビューを実施し、タイムスタンプの押されたアラームをタイムラインで整理する。収集されたデータに関しては、ケースごと時間軸に沿った形で整理し、さらに麻酔科医の認知時間、考察時間、対応速度などの形での検討を行う。 分析の焦点としては、アラームと、それに対応する麻酔科医の行動、認知、意思決定がそれぞれのレベルでアラームに対して、どのような反応を示しているかということを明確化することにある。これにより、いわゆる客観的なアラーム音とそれに対する受け手の側の麻酔科医の対応に関する相互行為のどのような点に課題があるかを明らかにする。 当該結果に関する、方法論も含めた、取りまとめを行い、学会など中心に広く発表を行うとともに、関連の英文学術雑誌などに公表を試みる。さらに当該研究の継続性を担保するために、本研究組織に加わっている研究者らの組織などにおいて同様な研究を行うことを検討すると共に、成果に関して広く一般に対しても公表を行うことの検討を試みる。
|
Causes of Carryover |
予定していたディバイス開発に時間を要したため作業工程に遅れが生じ、その結果として、当該ディバイスと同時に用いる予定の、アイトラッキングを用いたシステムとの統合を行う必要がある。さらに当該システムを用いて解析をおこないうるに足る一定量のデータを取得する必要があるため。 統合システムを構築し、それを用いて本研究における課題遂行のためのデータ取得を試みるために用いる。さらにその結果に関して、調査対象者らの麻酔医らに対してインタビューを行い、適切なフィードバックのあり方を検討するために用いる。
|
Research Products
(1 results)