2017 Fiscal Year Annual Research Report
Non-cell autonomous tumor formation evidenced by chimeric mice analyses analysis
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16K15589
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川口 義弥 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (60359792)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | キメラマウス / がん / 細胞非自律的制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:本研究では、我々が開発した膵癌キメラマウスモデルを用いて、従来の癌幹細胞理論のみでは説明しきれない細胞非自律的腫瘍形成現象を証明し、不均一な細胞集団からなる癌腫細胞コミュニティー形成機構の解明を目指した。 方法と結果:タモキシフェン誘導性に変異型Kras/P53を発現し、なおかつPdx1を欠失させ、Xgal陽性としてlineage traceできるES細胞を、CAG-CAT-EGFPマウス(Kras/P53/Pdx1はすべて正常型)から得たEGFP陽性胎盤胞にinjectionしてキメラマウスを作成した。タモキシフェンを投与するとEGF陰性のinitiator cloneに加えて周囲のEGFP陽性細胞が細胞非自律的に腫瘍の構成成分となった。Pdx1欠失はミトコンドリア障害を引き起こすことが分かっていたので、研究2年目に、Pdx1欠失は行わずタモキシフェン誘導性に変異型Kras/P53を発現し、Xgal陽性となるES細胞とEGFP陽性胎盤胞とのキメラマウスを新たに作成し、L-Lysine投与によるミトコンドリア障害を加えたところ、同様にEGFP陽性細胞の非自律的腫瘍化が観察された。マイクロアレイ解析および免疫染色の結果から、上記2つのキメラマウスモデルの両方で、CLXL13/CXCR5受容体を介した細胞非自律的腫瘍化が起こっており、その下流としてYAPシグナルの持続的活性化を来たしていることが分かり、CXCL13中和抗体、YAP阻害剤の投与で細胞非自律的腫瘍化がほぼ完全に消失した。 以上より、がん細胞の代謝ストレスが、がん微小環境を改変して細胞非自律的腫瘍化を引き起こすことが2つのモデルで示された。臨床で行われている化学療法/放射線療法の治療抵抗性には、がん幹細胞クローンの治療抵抗性だけでなく、細胞代謝ストレスによる細胞非自律的腫瘍化の活性化が寄与する可能性を示唆する。
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