2016 Fiscal Year Research-status Report
新規肝線維化マーカー糖蛋白WFA-M2BPの肝再生促進効果による革新的治療の開発
Project/Area Number |
16K15606
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
調 憲 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70264025)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 秀昭 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70380425)
吉住 朋晴 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80363373)
池上 徹 九州大学, 大学病院, 助教 (80432938)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | WFA-M2BP / 肝再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは、以前よりWFA-M2BPが肝線維化の有用なサロゲート・マーカーであることを報告してきた(Toshima T, Shirabe K, et al. J Gastroenterol. 2015 Jan;50(1):76-84)。さらにその機序として、肝星細胞が産生する糖蛋白であることを示した (J Gastroenterol Hepatol. 2016 Dec 22. doi: 10.1111/jgh.13708. [Epub ahead of print])。 このWFA-M2BPを生体肝移植ドナーの周術期にて経時的に測定したところ、血清WFA-M2BP値は術後早期に上昇し、術後3日目の血清値は術前後に計測した肝臓の容積を用いて算出された肝再生率と有意に相関した(R2: 0.3512, p=0.0023)。すなわち、血清WFA-M2BP値が高いほど、肝再生率が大きいことがわかった。 そこでわれわれはWFA-M2BPが新たな肝再生因子である可能性を明らかにする目的で、以下の研究を行った。ヒト肝細胞培養系での肝細胞の分裂に与える影響を検討した。ついで、ヒトKupffer細胞培養系のmediumにWAF-M2BPを添加し、培養を行った。培養48時間目に培養液を回収し、ヒト肝細胞培養系に添加した。 その結果、WFA-M2BPは肝細胞への直接分裂促進作用を示さないこと、ヒトKupffer細胞の上清はWFA-M2BPを添加しない対照群でも軽度の肝細胞分裂作用を示したが、WFA-M2BP添加後の上清では有意に肝細胞分裂を促進した。この肝細胞分裂促進作用は既知のEGFの作用とほぼ同等であった。 したがって、WFA-M2BPはKupffer細胞を介した肝細胞の分裂を促進することが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
われわれは新たなWFA-M2BPは肝再生因子であるとの仮説をたて、以下の研究を行った。ヒト肝細胞培養系での肝細胞の分裂に与える影響を検討した。ついで、ヒトKupffer細胞培養系のmediumにWAF-M2BPを添加し、培養を行った。培養48時間目に培養液を回収し、ヒト肝細胞培養系に添加した。 その結果、WFA-M2BPは肝細胞への直接分裂促進作用は見られないこと、ヒトKupffer細胞の上清はWFA-M2BPを添加しない対照群でも軽度の肝細胞分裂作用を示したが、WFA-M2BP添加後の上清では有意に肝細胞分裂を促進した。この肝細胞分裂促進作用は既知のEGFの作用とほぼ同等であった。したがって、WFA-M2BPはKupffer細胞を介した肝細胞の分裂を促進することが明らかになった。 われわれは当初、WFA-M2BPが肝細胞に直接作用し、肝細胞の分裂を促進するのではないかとの仮説をたて、実験したが、極めて正常ヒト肝細胞に近いと考えられているフェニックスバイオ社のヒト肝細胞に対しては明らかな分裂促進作用はなかった。しかしながら、ヒトKupffer細胞からWFA-M2BPによって産生が促進される液性因子が肝細胞の分裂が促進している可能性が明らかになった。 本年度はサイトカインアレイや質量分析計を用いて、WFA-M2BPが産生を促すヒトKupffer細胞の液性因子を同定する予定である。この結果、新たな肝再生の機序が明らかになるとともに、肝再生を促進するといった肝不全に対する新たな治療戦略が構築が可能となる可能性がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度はサイトカインアレイや質量分析計を用いて、WFA-M2BPが産生を促しているヒトKupffer細胞の液性因子を同定する予定である。 さらに新たな肝再生因子が同定された場合には、ヒト肝細胞を有するキメラマウスを用いて、肝再生因子としての働きを照明する。 この結果、新たな肝再生の機序が明らかになるとともに、肝再生を促進するといた肝不全に対する新たな治療戦略が構築が可能となる可能性がある。
|
Research Products
(1 results)