2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K15683
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
中塚 秀輝 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70263580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前島 亨一郎 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (20549852)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | BDNF / TrkB-isoform1 / TrkB-isoform2 / TrkB-Shc |
Outline of Annual Research Achievements |
脳由来神経栄養因子(BDNF) とその特異的受容体であるTrkBは神経系の正常な初期発生に不可欠の因子であるがLewinら(2014)は疼痛の伝達に関与していることを示唆している。ヒトのTrkB遺伝子には全長(TrkB-isoform1:TrkB-1)の他に細胞内リン酸化ドメインがないTrkB-isoform2(TrkB-2)、さらにTrkB-Shcの3種類が存在する。TrkB-2はBDNFを結合するドメインがあるにもかかわらずリン酸化ドメインが無くシグナル伝達ができない構造を持つ(Mol Cell Biol,1991)。またTrkB-Shc(一部リン酸化部位を有している)はヒトTrkB-1のnegative dominantとなる(WongらBBRC, 2012)報告がある。 ヒトTrkB-Shc遺伝子構造からラットTrkB-Shcの構造を予測し、PCR用のprimerを設計し、PCR実験でTrkB-Shcの発現をみた。一方、TrkB-2発現ベクターを脊髄くも膜下腔に投与することによって疼痛過敏を抑制する効果が認められたが、投与直後に体重減少が起こり毒性が疑われた。さらに担癌動物ではメディエーターが多岐にわたり解析が複雑となり従来のChungモデルを使用した。 TrkB2発現ベクターを作成し、Chungモデルラットの脊髄くも膜下腔にカテーテルを挿入し、ベクターを投与後、疼痛行動を評価した。投与後から2日目に疼痛抑制効果が認められた。しかし直後に著しい体重減が起こり、ベクターの毒性が疑われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発現ベクターの作成:発現ベクターの構造は、pCMVscriptを用いCMV promoterの後にTrkBのBDNF結合領域をつなぎ、さらに以後の解析を容易にするためEGFP-FLAG-Stagを付加した。 発現ベクター投与は体重減少など毒性が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)脊髄組織でのベクターの発現を定量PCR法で測定する。 2)疼痛時と疼痛が抑制されている時でのTrkBのリン酸化を評価する。
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Causes of Carryover |
Western blot法でリン酸化タンパクを測定する際、Protease InhibitorおよびPhosphatase inhibitorの使用が不可欠である。しかしこれらのInhibitorの使用に加えて脊髄組織からの膜タンパク質抽出法においても破砕方法などの検討が必要になってきた。このため、タンパク質抽出試薬などの購入を計画している。
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