2016 Fiscal Year Research-status Report
霊長類モデルを用いた革新的な術後SIRS/ARDS発症メカニズムの探究
Project/Area Number |
16K15757
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
後藤 行延 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20451700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 祐司 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30302417)
揚山 直英 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター, 主任研究員 (50399458)
井上 貴昭 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60379196)
佐藤 幸夫 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10312844)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ARDS / 骨髄由来細胞 / 白血球 / 体外循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
霊長類医科学研究センターにおいてカニクイザルARDSモデルを用いて実験を行い、同施設と筑波大学において分析、データ解析を行った。術後SIRSとそれに続くARDSの発症予防手段の確立を目指すべく、薬理学的制御の手法により群分けした。具体的には、トロンボモジュリンにより、手術が惹起する主要凝固系路である外因系凝固の抑制を図り、凝固・線溶の亢進からSIRSへと進展する過程の初期段階を制御する。加えて、SIRSおよび肺障害発生のkey-factorである白血球の活性化と肺への集積について骨髄由来白血球の動態に焦点を当て、CCL23による骨髄刺激抑制効果とトロンボモジュリンの好中球活性化抑制作用をin vivoで検証、血液学的、組織学的、および画像的に解析することを目標としている。 本年度は、薬理学的制御の手法により分けた各群のうち、[トロンボモジュリン群]のサンプル数4例を施行した。BrdUを静注(100mg/kg)しカニクイザルの骨髄前駆細胞を標識、24時間後、手術(体外循環)実験を開始する。全身麻酔下に胸骨正中切開、ヘパリン3mg/kgを体外循環直前に静脈内投与する。その後、30分間の完全体外循環(Total bypass: 肺虚血モデル)を含む、計120分間の軽度低体温体外循環をおこなう。開始後120分後に体外循環から離脱し、止血ののち閉創する。術中、および術後一週にわたり経時的に血液検体、気管支肺胞洗浄(BAL)液の採取を行った。 これまでの解析で、血管内皮細胞上のトロンビン受容体であるトロンボモジュリン(recombinant TM, 380 U/kg)を術直前に添加することによって、凝固促進活性を直接阻害、より広範な凝固遮断が図られ、さらには好中球活性化抑制作用、および肺への集積抑制作用を有する傾向を認め、内容を学会発表準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の3群のうち、1群の実験を行い、当初予定の頭数、5頭には届かなかったものの、おおむね予定通り進行していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの経験と実績から、同様の形態で実験遂行可能と考える。計画通りの残りの群と必要頭数を確保すべく、継続の所存である。
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