2017 Fiscal Year Research-status Report
低温ショック蛋白RBM3から展開する低温による炎症制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
16K15762
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田崎 修 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (90346221)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田島 吾郎 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (00437427)
山野 修平 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (60570538)
梅原 敬弘 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (60617421)
池松 和哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80332857)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 自然免疫受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
感染性炎症と非感染性炎症の病態を自然免疫の発現パターンから判別することを目的として研究を行った。感染性炎症モデルとして盲腸結紮穿刺を、非感染性炎症モデルとして20%III度熱傷モデルを用いて、受傷6、12、24時間後に全血よりtotal RNAをを抽出して定量RT-PCRにより自然免疫受容体(TLR2、TLR4、TLR9、NLRP3、RIG-I)の遺伝子発現を測定し判別分析を行った。その結果、受傷後6時間後から各群で特徴的な遺伝子発現パターンを示し、各時間(6、12、24)において過誤率0%で各病態を判別することができた。この結果は、米国外傷学会に口演発表し論文化した。また、新たな重症病態とCit-H3やNETs発現との関連を評価するため、頭部外傷モデルの作成に着手した。 臨床研究においては、NETs産生との関連が注目されている静脈血栓塞栓症(VTE)とその予防法についての研究を行った。外傷の重症度を示すInjury severity scoreが15以上、VTE発症のリスク指標であるRisk Assessment Profile scoreが5以上の重症外傷患者(n=27)に対して止血が完成した時点から未分画ヘパリン1万単位/日を最長14日間投与した。その結果、VTEの発症率はhistorical control群(n=82)と比較して32.9%から7.4%まで有意に低下した。本予防法においてもVTEが生じた症例ではNETsの過剰産生が関与している可能性がある。その他の臨床研究として、救命救急センターおよび外傷センター開設が、担当地域の救命率向上に寄与したかを地域網羅的に解析した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自然免疫系に着目して、敗血症モデルと熱傷モデルにおいて、自然免疫受容体の遺伝子発現パターンを解析し、両モデル(感染性炎症と非感染性炎症)に差異があることを明らかにすることができた。しかし、低体温での自然免疫細胞の活性化や受容体発現の解明の段階には至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
敗血症モデルの低体温下における自然免疫細胞活性化と自然免疫受容体発現の関与を明らかにする。 ・低体温モデル、敗血症モデルにおいて以下の実験系を確立する。Control 群、敗血症モデル群、低体温モデル群、敗血症+低体温モデル群で、低体温終了後6、12、24 時間後にマウスを安楽死させて、血液は心腔内採血し、脾臓をサンプリングする。:RNA-binding motif protein3(RBM3)、各Pattern Recognition Receptors(PRRs)のmRNA、蛋白発現を測定して、全身の炎症、各免疫担当細胞の活性化と比較することでRBM3 の自然免疫系を介した炎症制御への関与を調べる。 ・低体温療法患者(心肺停止蘇生後、重症頭部外傷)のRBM3 発現とPRRs、自然免疫細胞活性の変化を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
理由:今年度は自然免疫系に着目して、敗血症モデルと熱傷モデルにおいて、自然免疫受容体の遺伝子発現パターンを解析し、両モデル(感染性炎症と非感染性炎症)に差異があることを明らかにすることができた。しかし、低体温での自然免疫細胞の活性化や受容体発現の解明の段階には至っていない。そのため、今年度購入予定であった実験動物や免疫機能評価用の試薬を購入しなかった。 使用計画:来年度は、敗血症モデルの低体温下における自然免疫細胞活性化と自然免疫受容体発現の関与を明らかにする。次年度使用分については、動物の購入、実験の試薬、成果発表の旅費等に使用する予定である。
|
Research Products
(9 results)
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 外傷後静脈血栓塞栓症の新規予防法に関する検討2017
Author(s)
井山 慶大, 猪熊 孝実, 池田 聡司, 高橋 健介, 山野 修平, 田島 吾郎, 平尾 朋仁, 野崎 義宏, 山下 和範, 前村 浩二, 田崎 修
Organizer
日本救急医学会総会
-
-