2018 Fiscal Year Research-status Report
低温ショック蛋白RBM3から展開する低温による炎症制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
16K15762
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田崎 修 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (90346221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田島 吾郎 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (00437427)
山野 修平 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (60570538)
梅原 敬弘 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (60617421)
池松 和哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80332857)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自然免疫受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性期病態における全身性炎症反応は、Damage Associated Molecular Patterns(DAMPs)を自然免疫系が認識することにより惹起される。今年度は、組織損傷と感染による炎症の自然免疫受容体とシグナル分子の遺伝子発現パターンを判別分析で比較検討した。組織損傷モデルとしては広範囲熱傷モデル(20%III度熱傷)(Burn)、敗血症モデルとしては盲腸結紮穿刺モデル(CLP)を使用した。 C57BL/6マウスを用い、Sham、CLP、Burnの3群で、受傷3, 6, 12, 24時間後(各n=12)に全血よりtotal RNAを抽出した。定量RT-PCRで自然免疫受容体(TLR2, TLR4, TLR9, NLRP3, RIG-I)とシグナル分子(MyD88, TRIF, IRF-3, IRF-7, Caspase-1)の遺伝子発現を測定し判別分析で発現パターンを比較した。 TLR2, TLR4, NLRP3, MyD88の発現はCLP, Burnにおいて3時間後から有意に上昇した(p<0.05)。CLPにおいてTLR9は12, 24時間後でSham, Burnより有意に低下(p<0.05)、IRF-7は有意に上昇した(p<0.05)。3時間後から各群で特徴的な遺伝子発現パターンを示し、判別分析では3時間後で判別過誤率6.06%、6時間後からは0%で各病態を判別できた。受傷早期から感染、組織損傷とも病態特異的な自然免疫系の反応が惹起されていると考えられた。 今年度は、CLPおよびBurnにおける自然免疫受容体の発現パターンに加え、その下流のシグナル分子の遺伝子発現パターンにも特徴的変化が現れることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、CLPおよびBurnにおける自然免疫受容体の発現パターンに加え、その下流のシグナル分子の遺伝子発現パターンにも特徴的変化が現れることを明らかにした。しかし、臨床業務による多忙、および実験モデル解析のための研究遂行に予想以上の時間を要したことが原因で低体温の影響を精査することができなかった。そのため、当初の目的を達成するため研究期間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
敗血症モデルの低体温下における自然免疫細胞活性化と自然免疫受容体発現の関与を明らかにする。 ・低体温モデル、敗血症モデルにおいて以下の実験系を確立する。Control群、敗血症モデル群、低体温モデル群、敗血症+低体温モデル群で、低体温終了後6,12,24時間後にマウスを安楽死させて、血液は心腔内採血し、脾臓をサンプリングする。RNA-binding motif protein3(RBM3)、各Pattern Recognition ReceptorsのmRNA、蛋白発現を測定して、全身の炎症や各免疫担当細胞の活性化と比較することでRBM3の自然免疫系を介した炎症制御への関与を調べる。
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Causes of Carryover |
理由:臨床業務による多忙、および実験モデルの解析のための研究遂行に予想以上の時間を要したことが原因で低体温の影響を精査することができなかった。そのため、今年度購入予定であった実験動物や免疫機能評価用の試薬を購入しなかった。また、当初の目的を達成するため研究期間の延長を申請した。
使用計画:敗血症モデルの低体温下における自然免疫細胞活性化と自然免疫受容体発現の関与を明らかにする。次年度使用分については、動物の購入、実験の試薬、成果発表の旅費等に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)