2016 Fiscal Year Research-status Report
無重力環境下における歯と骨の代謝機構解明に向けたモデル動物としてのメダカ活用戦略
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16K15778
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
茶谷 昌宏 昭和大学, 歯学部, 助教 (80628628)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メダカ / 重力 / 骨 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨は常に形成と吸収が行われており、バランスが保たれるが、その詳細なメカニズムは明らかではない。宇宙空間で骨量が減少するという報告から、骨代謝には重力が関与すると考えられる。それを明らかにするため私達の研究グループは過去に2回の宇宙実験を行った。その解析から、破骨細胞は活性化し、ストレス応答として知られるGR(グルココルチコイド受容体)のシグナルが微小重力環境で上昇していることを見出した。それを基盤にして重力ストレスと破骨細胞の関連を調べている。 2014年において、国際宇宙ステーションにある「きぼう」日本実験棟で骨芽細胞と破骨細胞が蛍光で光る遺伝子を組み込んだメダカを、8日間の連続で顕微鏡を用いて観察し、両細胞の蛍光シグナルが無重力下で急速に活性化されている様子を観察した(代表研究者、工藤明教授)。また、無重力に応答する遺伝子を網羅的に解析した結果、骨関連遺伝子の他に5つの遺伝子、c-fos, jun-B-like, pai-1, ddit4, tsc22d3が発現上昇することを見出した。この結果をまとめ上げ論文発表した。老人性あるいは不動性骨粗鬆症の原因解明に繋がることが期待できる。 重力研究にメダカをモデル動物として用いるため、メダカの破骨細胞の基礎的な性質を明らかにする実験を行った。骨の関連遺伝子を欠損したノックアウトメダカを解析した結果、全身における破骨細胞の新たな分化様式を見出している。 無重力環境下における骨吸収の活性化はGCのシグナル活性化が原因であるという仮説を立て、GC(グルココルチコイド)の作用を調べた。破骨細胞トランスジェニックメダカにGCのアクチベーターを投与した結果、通常では破骨細胞が全く観察されない鱗に破骨細胞が誘導されることを明らかにしている。今後、そのメカニズムを明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年に行った国際宇宙ステーション利用実験の結果をまとめ上げ、微小重力に移動した際の初期反応の論文を発表した。骨関連遺伝子が光るメダカを生きた状態でジェルの中に入れ、それを微小重力環境で観察するという世界で初めての試みだった。その際、重力に応答する可能性の高い5つの遺伝子を見出した。また、地上における骨の基礎研究として、数種の遺伝子ノックアウトメダカとトランスジェニックラインとのを掛け合わせを進めており、生体内における破骨細胞や骨芽細胞の興味深い動態を見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな遺伝子改変メダカを開発する。宇宙空間で行った実験の結果からいくつかの遺伝子に発現上昇が見られ、グルココルチコイドの下流で変化が起きている。そのため、グルココルチコイドに関連した遺伝子ノックアウトメダカやトランスジェニックメダカラインを作出し、これまでの遺伝子改変メダカを駆使することで、重力変化に対してどのような応答を示すのかを地上実験により明らかにする。
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Causes of Carryover |
実験の条件検討に時間を要した。また、次年度に行う実験量が増えることが予定されているため、今年度分の一部を次年度に移行することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
見出した最適な条件によって、効果的に実験道具、試薬を使用する。
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[Journal Article] Acute transcriptional up-regulation specific to osteoblasts/osteoclasts in medaka fish immediately after exposure to microgravity2016
Author(s)
Chatani M, Morimoto H, Takeyama K, Mantoku A, Tanigawa N, Kubota K, Suzuki H, Uchida S, Tanigaki F, Shirakawa M, Gusev O, Sychev V, Takano Y, Itoh T and Kudo A
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 6
Pages: 1-14
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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