2017 Fiscal Year Annual Research Report
Clinical and basic investigations for proposal regarding chemotherapy use in pediatric dentistry
Project/Area Number |
16K15838
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
仲野 道代 (松本道代) 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30359848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 慶子 岡山大学, 大学病院, 助教 (50335618)
大川 玲奈 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (80437384)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抗がん剤 / 永久歯胚 / 器官培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗癌剤の投与を受けた小児では様々な晩期合併症が生じることが知られており、歯科領域では、永久歯の欠損、歯根の短小化や歯冠の矮小化等の歯の形成障害が報告されている。これまでに、いくつかの症例報告やある種の抗癌剤を用いた基礎研究などがあるが、いずれも抗癌剤が歯の形成に及ぼす影響の全容解明につながるものにはなっていない。本研究では、全国的な大規模調査を実施し、日常臨床で用いられている各種の抗癌剤が引き起こす各種の歯の形成障害について包括的に検討する。また、歯の形成障害に関与する可能性が高いことが示された臨床調査については、集積された症例は現在39症例であり、何らかの歯科的晩期合併症の発症率は82%であった。また、治療開始年齢が低いあるいは造血幹細胞移植を施行した患児ほど重度の障害がでる可能性が高い傾向にあることが示唆された。基礎研究においては、胎生17日のICRマウス胎仔の下顎第一臼歯胚を実体顕微鏡下にて摘出した。摘出した歯胚に抗がん剤の1つであるシクロフォスファミドを作用させ、Trowell変法で、21日間培養を行った。その際、抗癌剤を歯胚摘出翌日に添加した群と添加しない2群に分けて培養を行い、培養後14日めおよび21日めの歯胚の組織切片を作製し、歯の形成を組織学的に観察した。シクロフォスファミドを作用させた群では、作用させていない群と比較して、内エナメル上皮細胞の配列に乱れが生じ形態も変化していたと同時に外エナメル上皮細胞の配列の乱れも認められた。さらにシクロフォスファミドを高濃度で添加した群では、エナメル質の形成量の低下が認められた。歯根形成に関連する遺伝子の発現を調べたところ、シクロフォスファミドを作用させていない群と比較してサイトケラチンおよびビメンチンの発現が有意に低下していた。以上の結果より、抗がん剤による歯胚形成への影響は遺伝子レベルでの影響によることが示された。
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Research Products
(4 results)