2016 Fiscal Year Research-status Report
災害時支援にかかる看護職へのブリーフィング・デブリーフィングガイドラインの検討
Project/Area Number |
16K15864
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊藤 尚子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 特任准教授 (60583383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 達枝 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40576063)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 災害看護 / ブリーフィング / デブリーフィング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、災害発生時に支援活動のため派遣される看護師に対し有効なブリーフィングとデブリーフィングがなされるよう、そのガイドラインを作成することを目的としている。平成28年度は第1段階として実際に行われた災害発生時の支援活動前のブリーフィング、支援活動終了後のデブリーフィングの実態を明らかにするための調査を行った。千葉大学大学院看護学研究科の倫理審査委員会の承認を経たのち本研究の面接調査を実施した。実施期間は平成28年10月13日から平成29年3月9日である。先行研究よりインタビューガイドラインを作成し、スノーボール方式により29名の看護師に対し半構成的面接を実施した。災害支援に派遣された立場および派遣した立場でのブリーフィング・デブリーフィングの内容について聞き取り調査を行った。1名の看護師が異なる災害で複数回派遣されてブリーフィング・デブリーフィングを受けていたり、異なる立場で回答していたため、分析対象の延べ人数は55名となった。内訳はブリーフィングを受けた者が22名、デブリーフィングを受けた者が25名ブリーファーを行った者が4名、デブリーファーを行った者が4名であった。ブリーフィング・デブリーフィングを受けた者看護師の平均年齢は47.00±8.05歳、看護師としての平均経験年数は23.61±7.54年であった。ブリーファー・デブリーファーを行った看護師の平均年齢は53.50±9.94歳、看護師としての平均経験年数は28.75±7.53年であった。派遣された災害は国内での地震と水害、国外での地震であった。ブリーフィングはグループ方式で活動の行程や注意事項の内容が多く、デブリーフィングはグループ方式で報告会での開催が多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
倫理審査で承認されたのちに調査を開始することができた。調査対象の目標が、ブリーフィング・デブリーフィングを受けた看護師と実施した看護師につき10名ずつを目標にしたが、それぞれ22名、25名、4名、4名の55名である。4名についてはスノーボール方式を用いた結果5人目の紹介者が現れず目標に到達しなかったが最大限の努力を行った結果であった。ほぼすべての対象からインタビューガイドに沿った情報を提供してもらえることができ、逐語録の作成ののち必要な情報を抽出して分析を済ませた。すべての対象が面接時および終了後に心身の変調をきたさず、研究協力への撤回もない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は第1段階で面接調査、第2段階で質問紙調査を行い、第3段階で効果的なブリーフィングとデブリーフィングのガイドラインを作成することとしている。平成29年度は第2段階を計画通り実施する予定である。今後は第1段階で得られた結果をもとに、明らかになったニーズや、ブリーフィング・デブリーフィングに関わる意味に基づき、それらに対応したブリーフィングとデブリーフィングが行われたか、同様のニーズや別なニーズがあるかを確認する質問紙を作成する。プレテストの実施により精度を挙げた質問紙を用いて被災地支援活動を行った看護職に対し調査を実施する。併せてブリーファー・デブリーファーに対して、第1 段階で明らかになったニーズや意味に応じたブリーフィングとデブリーフィングを行ったかを調査する。 第1 に、被災地支援活動を行った看護職約500 名に対し、ブリーフィング・デブリーフィングが、第1 段階で明らかになった意味に基づいて実施されたか、および、その効果の程度について調査を行う。日本看護協会や、災害拠点病院、民間ボランティア団体の協力を得て対象の獲得をする。 第2 に、併せてブリーファー・デブリーファー約200 名に対して、第1 段階で明らかになったニーズや意味に応じたブリーフィングとデブリーフィングを行ったかを調査する。日本看護協会や、災害拠点病院、民間ボランティア団体の協力を得て対象の獲得をする。調査の実施前に。千葉大学大学院看護学研究科の倫理審査委員会の承認を得る。 対象数の獲得が困難となったときは、収集したデータが十分と判断されれば500名、200名に到達しなくとも調査を終了する。
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Causes of Carryover |
平成28年度はスノーボール方式で調査対象を獲得していったが、見込よりも遠方での調査が必要とされず、旅費にかかる支出が予定より少額で済んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として文具・図書などを購入するための50,000円、必要に応じて調査依頼として対象の機関へ赴くことや研究者討議、学会参加のための国内旅費として350,000円、研究補助として平成28年度の次年度使用額を足した116,947円、分析発注および質問紙の郵送費を合わせたその他の支出300,000円を計上している。合計で計画通り800,000円を支出予定である。
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