2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K15882
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山本 あい子 兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 教授 (80182608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野嶋 佐由美 高知県立大学, 看護学部, 教授 (00172792)
増野 園惠 兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 教授 (10316052)
伊藤 ちぢ代 兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 客員教員(教授) (50196680)
渡邊 美保 高知県立大学, 看護学部, 講師 (70571313)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 安心 / 災害 / 災害安心学 / 他分野融合 / 新学問分野の創設 |
Outline of Annual Research Achievements |
本目的は、「災害安心学」という新学問分野の構築可能性を模索することである。平成28年は看護学に加えて、社会学・工学・心理学等の学問分野で、①「安心」をどのように捉えているかを、文献により明らかにした。安心関連の文献は2006年前後から出始めているが、それ以前にもみられることから、検索範囲を1995年から現在までに拡大して実施した。Cinii中心に、安心と災害をキーワードに612件の文献が検索された。このうち、情報通信関係や土木関係等の文献を除外し、安心+災害+心理学で5件、安心+心理学+概念で重複を除外して1件、安心+安全+心理学で9件、安心+安全+概念で80件中21件、計36件をリストアップした。さらに安心+安全+社会学では33件、安心+安全+社会学+災害で3件、安心+社会学+概念1件、安心+社会学で34件、計68件をリストに加えた。また災害+安心+社会福祉学で4件、さらに安心+災害+工学で6件、安心+災害+建築学で5件、計11件を追加した。 これらの文献統合の結果、影響要因には洪水などの発生等人命に関わる事態、地域の復興計画の策定、安全な食べ物を作ることに心血を注いできた生き方や安全性を担わなくてはならないという生産者の内的思考等が挙げられる。先行要件には、災害に関する情報や知識の獲得、インフラ整備、物資や資金の調達、災害時の支援活動等が挙げられる。属性として、安全の確証が得られること(自ら確認できる、納得できる)、日常の暮らしの営みがある、人とのつながりがあることを実感できる等が含まれる。さらに帰結として、希望、自信、地域社会の復興の促進等が挙げられる。以上をまとめると、誰が何かに対して抱く感情であり、一つの主観的な状態をさしている。また安心には、人とのつながりと信頼が必要である。さらに文献著書情報から、次年度の面接候補者の選択も実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の計画は、文献検索ならびに購読を通して、安心に関する既存の知識を探索し、かつ統合することであった。その結果、関連要因、先行要件、属性、帰結のそれぞれの内容が明らかとなった。また次年度に向けて、面接調査の対象者のリストアップも行っており、面接調査は平成28年度末から開始予定であったが、面接調査はやや開始時期が遅れているが、平成29年度始めから開始できるよう準備をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年同様、TV会議システムを介して定期的に会議を持ち、安心概念の追及を続けていく。加えて、代表的な学問領域の研究者を対象として、面接調査も開始するが、データ共有は会議同様、TVシステムを介した対面式により、理解と情報の共有を確かなものとしつつ、研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
本年度に計上していた予算と大きな差が生じているのは、旅費の部分が一つである。これは、面接調査を予定していたが、面接を依頼する他学問分野の研究者の人選に時間を要したことから、面接調査の旅費が不要となったこと、さらに国際学会への参加を予定したが、本務の都合で出席できなかった研究者がいたこと、並びに他の研究費を利用して学会参加が可能であったことなどから、特に旅費に大きな差額が生じている。また面接調査が平成29年度からの実施となったことで、インタビューデータを記述データに変更する謝金も不要となったことで、人件費・謝金・その他も予定額を下回っている。研究者間の対面TV会議システムを利用したことから、旅費が不要であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、面接調査用の旅費、ならびに10月予定されている世界看護科学学会(WANS:タイで開催)やアジア太平洋地域救急と災害看護ネットワーク会議等、また日本看護科学学会等にも参加予定である。面接調査も実施予定であることから、調査旅費、協力者への謝礼品代、インタビューデータの逐語録作成費、アルバイトの人件費等に使用予定である。
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