2016 Fiscal Year Research-status Report
外国人旅行者を対象にした災害発生時における看護支援活動モデルの構築
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16K15896
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Research Institution | Himeji University |
Principal Investigator |
安達 和美 姫路大学, 看護学部, 教授 (70280104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 夕起 大和大学, 保健医療学部, 助教 (30749437)
田村 康子 神戸女子大学, 看護学部, 准教授 (80326305)
相羽 利昭 東京純心大学, 看護学部, 講師 (80340115)
溝畑 智子 神戸女子大学, 看護学部, 助教 (80724434)
山田 英子 東京医療保健大学, 看護学部, 講師 (80773324)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地方自治体 / 災害公助 / 外国人に関する備え対策 / 宿泊施設 / 災害共助 / 外国旅行者への備え調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、外国人旅行者に対して災害時に看護支援ができるために、災害(看護)の視点からその実態の分析を通して看護支援モデルを構築することである。初年度の目標は、3つあり、その一つが公助としての東京都、神戸市、姫路市における行政の外国人旅行者への対応策・備えに関して電話や訪問や関係資料による実態調査を実施した。外国人旅行者が急増している今日において、結果は、外国人旅行者に対する対応策については、十分でないことが明らかになった。今後、災害における公助と共助の機能と役割について検討できる足がかりとなったことである。地方自治体の取り組みについては、初年度の研究活動だけでなく引き続き継続して、縦断的に実態把握を行い、外国人旅行者の災害時対応に関する政策提言へと繋ぐことが重要である。2つ目は、外国人旅行者の災害に関連する文献レビューを行い、文献レビュー結果を踏まえ根拠に基づいた質問票の作成と実施により、質問内容の妥当性を確保することが出来た。3つ目は、東京都、神戸市、姫路市の1,608宿泊施設に対して外国人旅行者の災害への備え調査を実施した。結果は、17%有効回答率と低い数値であったが、初めての災害看護分野による外国人旅行客への災害への備えについての宿泊施設へ調査であり、研究への第一歩としての意義は大きい。統計分析結果の特徴として、大都市宿泊施設における外国人旅行者への災害への備え対策は、十分ではないことが明らかになったことである。しかし、自由記載欄へは、災害への備えを強化していきたい内容が具体的に示されており、今後、災害への対応・備えにおいて公助、共助の対応力を高めていく上で、取り組むべき課題が明らかになったことの意義は大きい。自助については、新年度の取り組みとなるが、公助力、共助力、自助力の実態が明らかになることで災害対応力を高めていくための具体的な対応モデルが検討できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、3年の研究計画であり、今年度はその初年度である。初年度の研究活動は、外国人旅行者への行政の取り組みと宿泊施設の取り組みの実態を明らかにすることであった。先ず、① 外国人旅行者への行政の取り組み(東京、神戸、姫路)に関する取り組みは、3都市それぞれの行政の地域防災関連者から、事前準備による得たい情報内容に沿って電話や訪問によって情報を得ることが出来た。結果の特徴としては、「地域防災計画」に沿った 外国人(旅行者)に向けた防災対策は十分ではなく。公助としての取り組みを強化する必要性が明らかになった。また、本年度だけでなく、本研究が終了する平成30年度まで継続して(縦断的に)情報を得ていくことが必要であることも明らかになった。 ②の共助としての外国人宿泊者に対する災害時の対応・備えに関する実態―質問紙調査の取り組みについては、東京と兵庫(神戸、姫路)の1,608の宿泊施設に対して質問票を送付し有効回答率は、275件(17%)であった。調査結果は、SPSSソフトによって集計分析を行った。なお、質問紙調査の自由記載欄については、記述的内容分析を行った。結果の特徴としては、宿泊施設において、外国人旅行者への災害への備えは十分できているとはいえない現状が浮き彫りになった。しかし、自由記載欄には、外国人旅行者への災害への備えについて強化したい内容が述べられており、宿泊施設としての外国人旅行者への備えに関するニーズが高いことも明らかとなった。 これらの取り組み実績から、今年度の研究計画に基づく研究活動の進捗状況は、おおむね研究目的・目標に沿ってできているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、3年計画であり、新年度は2年目の研究課題に積極的に取り組んでいく。2年目(平成29年度)の研究目標は、外国人旅行者の側から、災害への意識、備え対策に関するインタビューによる実態調査を実施する。特に外国人旅行者に目標に沿って、半構造的インタビューガイドを作成(災害に対する意識、災害対策、災害時のニーズ等)し、直接的に働きかけていくため、様々な文化にも配慮した、注意深い研究倫理の検討にそった審査を受ける。外国人旅行者が使用する主な言語(韓国語、中国語、ベトナム語、英語、)については通訳者をつけインタビューを実施する。さらにインタビュー実施前には、より正確なインタビュー内容が習得できるようにプレインタビュー研修を実施する。インタビュー終了後は事例ごとに、研究目的・目標に沿って分析を重ねていく。 本年度の調査研究結果は、平成29年12月に開催される日本看護科学学会で発表する計画である。 外国人旅行者に対する地方自治体(東京、神戸、姫路)の備え対策については、当初の今年度のみにとどまらず新年度も継続して取り組むことにしている。
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Causes of Carryover |
分担者の分担金が余った理由として、研究分担者会議に業務の関係上参加できなかったため旅費の支出がなかった。図書、消耗品の購入が出来なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新年度に消耗品の購入を行う。さらに新年度は、外国人旅行者へのインタビューを行うう計画であるので、外国語の翻訳や通訳がさらに必要となることが予測されるので、それらに当てていく予定である。
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