2016 Fiscal Year Research-status Report
外来化学療法後の末梢神経障害による患者の症状体験と生活への影響
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16K15913
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
大野 晶子 日本福祉大学, 看護学部, 准教授 (30285233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 詳子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (60212669)
白尾 久美子 日本福祉大学, 看護学部, 教授 (80269703)
杉田 豊子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (10454373)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 外来化学療法 / 末梢神経障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、化学療法による末梢神経障害を抱える外来患者の症状体験やそれによる生活への影響を詳細に把握し、構造化することで、アセスメントツール開発の基礎資料とすることを目的する。28年度は、外来で化学療法を受け、末梢神経障害を有する患者を対象に半構成的面接を行った。研究対象については、疾患や治療の特性により生活への影響に相違があると考え、外来で、大腸がんによりオキサリプラチンを使用している患者、卵巣がんによりパクリタキセルを使用している患者に絞って面接を行うことにした。面接の内容は、①病状の受け止め、②症状に伴う生活への影響、③自身の対処方法である。面接は、患者の負担への考慮およびデータの信頼性の確保のため、2回行った。末梢神経障害の状態については、手、足、その他(口唇など)のしびれの性状毎に、その程度をNRSを用いて確認した。また、手足の触覚の程度をモノフィラメントを使用して測定した。さらに、診療録より既往症、現病歴、治療(レジメン、副作用症状に対する支持療法)、有害事象共通用語規準 v4.0日本語訳JCOG版(CTCAEv4.0)、performance status(PS)を把握した。総合病院の外来化学療法室にて面接を行い、現段階で6名の面接を実施することができた。内訳は、大腸がん5名、卵巣がん1名、男女比は4:2である。ほとんどの患者は、症状がありながらも自分なりに工夫して生活しており、生活に支障を感じるほどではなかった。また、症状が出現してくると薬剤が変更になるため、強い症状を感じていないことがわかった。現在データ収集途中であり、疾病や性別に偏りがあることも結果に影響していると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
倫理申請を実施するまでに時間を要し、12月よりデータ収集を始めた。対象となる末梢神経障害のある患者がいなかったり、患者の状態の悪化により予定していた治療が延期になったり、外来にて治療が終了した時間にインタビューを依頼しているため業務の都合で日程調整が不可能であったりしたという理由で、データ収集が遅れている。また、当初対象者10名程度からデータを収集する予定にしていたが、末梢神経障害の程度に個人差が大きく、追加してデータを収集する必要性があると考えている。対象患者が少ないことについては、対象施設の変更および追加も検討していく必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.半構成的面接によるデータ収集を追加して行うとともに、データの分析を進める。現在6名が終了しているが、女性患者を増やし、15名程度と面接する予定である。 2.得られたデータを質的に分析するとともに、文献等から得られた知見も含めて、末梢神経障害患者の症状アセスメントのシートを作成する。現在アセスメント項目を精選中である。完成後、専門看護師や認定看護師と妥当性を検討する。 3.臨床看護師にアセスメントシートの活用を依頼する。患者のデータを収集して蓄積し、疾患や薬剤と症状や生活との関連性を分析する。データの収集手順としては、①外来化学療法センターの看護管理者およびCNSまたは認定看護師に調査の承諾を得る。②外来化学療法センターで勤務している臨床看護師に調査への協力を依頼し、承諾を得る。協力の得られた臨床看護師に調査方法を説明する。③CNSあるいは認定看護師に患者の抽出を依頼する。患者は、外来で、特定の薬剤(ビンカアルカロイド系、白金製剤、タキソン系)を使用して化学療法を受けており、病名告知を受け、病状や精神状態が安定し、主治医の了承が得られた成人がん患者とする。④選定された患者から調査の同意を得る。(CNSあるいは認定看護師に依頼)⑤臨床看護師が暫定的アセスメントシートに記録する。なお、この段階については、まずは倫理委員会の承認を得る。
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Causes of Carryover |
物品費として、テキストマイニングソフトの購入を計画していたが、予定していたソフトがWindors10に対応しないと判明したため、現在ソフトを検討中である。またデータ収集の開始が遅れたため、研究協力者(面接)への謝金についてはデータ収集途中であり、会計未処理になっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は、テキストマイニングソフトの購入、研究協力者(患者への面接)への謝金、アセスメントシートの妥当性の検討を依頼する専門看護師・認定看護師への謝金、成果発表のための旅費、学会参加費、会議費を予定している
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