2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K15949
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
小嶋 リベカ 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, ホスピタルプレイスタッフ (80746321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
里見 絵理子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (40543898)
阿部 泰之 旭川医科大学, 大学病院, 講師 (40447090)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 親ががんの子ども / 未成年の子どもをもつがん患者 / 相談内容 / チャイルドサポート |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の調査は、「未成年の子どもをもつがん患者の支援ニーズ調査」において、まずNCCでの3年間(H25~H28)に行われてきた家族支援の取組実践調査をデータ分析し、具体的な患者ニーズと支援内容を抽出することであった。依頼のあった131件の相談者の20代は2名、30代39名、40代76名、50代13名、60代が1名であり、平均年齢は43.3歳だった。患者からの相談は65名、配偶者からは26名であった。相談者の内訳は父親が11名、母親が80名であり、母親からの相談が多くあった。一方、夫婦での相談も別に21組あった。子ども(18歳以下)の総数は244名で、子どもの平均年齢は9.6歳、小学生が42%を占めた。 チャイルドサポートの相談内容を、大きく3つにカテゴリー化した。相談内容で最も多かったのは、病状に対する子どもの「理解と反応」(40%)であった。「まだ幼いので、子どもに病状を伝えていないけれど、理解できるだろうか」や「子どもに病状を伝えたけど、態度に変化が見られない、どんな風に理解しているのかが気になる」といった内容であった。次に「親としての思い」(33%)で、「治療によって親として十分なことをしてあげられない」といった内容であった。3つめは、「病名・病状や死をどう伝えるべきか」などの相談が含まれる「伝え方」(27%)についての内容であった。「どういう言葉を使って伝えたらいいのだろうか」という具体的な伝え方を悩む内容もあれば、「子どもに伝えることへのメリットとデメリット」を問う内容もあった。 チャイルドサポートを行う際、患者・家族がどのような状況に在るのか等を早い段階に、医療スタッフ間で情報共有等を行うことが不可欠である。今後、病院で行う家族支援の質の向上を目的として、チャイルドサポートに関する医療者対象の支援モデルおよび多職種との連携体制の構築を進めることが望ましいといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「未成年の子どもをもつがん患者の支援ニーズ調査」において、まずNCCでの3年間(H25~H28)に行われてきた家族支援の取組実践調査をデータ分析し、具体的な患者のニーズとチャイルドサポートの内容を抽出した。その結果については、第21回日本緩和医療学会学術大会にて発表を行った。さらに論文化し、投稿した(審査段階)。 なお、本年度に予定した全国がん診療連携拠点病院実態把握のためのアンケート調査については、同様の調査が他施設によって行われていることが昨年6月に判明したため、計画を変更し、次年度に予定していた当院看護師への「子ども支援に関わる上で医療者の抱える困難さについて」の調査を前倒し実施した。この結果については、次年度の患者・家族に行う「18歳未満の子どもをもつがん患者・家族が求めるチャイルドサポート」に関するアンケート調査結果と合わせて解析を進め、3年目の「支援モデル構築」に発展させられるように、検証していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、①「未成年の子どもをもつがん患者の支援ニーズ調査」において、患者・家族が何を必要としているかを明らかにするために、NCCに通院および入院している未成年の子どもをもつがん患者・家族に対し、アンケート調査(「18歳未満の子どもをもつがん患者・家族が求めるチャイルドサポートについて」)を行い、子育てに関する心配ごとやニーズを明らかにする。 そのうえで、②「子ども支援に関わる上で医療者の抱える困難さについて」の調査結果と合わせて、どのようなチャイルドサポートの内容が患者のニーズに即しているかを検討していく。 以上の①②の調査で得たデータより、チャイルドサポートの専門家及び医療者のコンセンサスを踏まえ、患者ニーズに対応したチャイルドサポートのモデル構築と、医療者が具体的にそのモデルを活用するために有効なツールを検討していく。その研究は、3年目に取り組む予定である具体的な支援モデルの立案につながり、さらに医療者による、チャイルドサポートの質の向上に向けての働きかけにつながることを目指す。
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Causes of Carryover |
本年度に予定した全国がん診療連携拠点病院実態把握のためのアンケート調査については、同様の調査が他施設によって行われていることが昨年6月に判明したため、計画を変更し、次年度に予定していた当院看護師への「子ども支援に関わる上で医療者の抱える困難さについて」の調査を前倒し実施した。なお、本年度予算に加えた事務及び分析研究に必要な人員の確保は、計画変更に伴い使用しなかった。 研究2年目は、医療者や子どもをもつがん患者からのニーズ調査を行い、実際のチャイルドサポート内容の立案が研究活動の中心になる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、子どもをもつがん患者または家族からのチャイルドサポートに関するニーズ調査を行い、実際の支援内容の立案が研究活動の中心になる。よって意見交換費が必要となる。その結果を踏まえて学会発表を行うため、その参加費が必要である。なお、ニーズ調査を行う間、子どもをもつがん患者とその家族支援を継続して行うため、そのために有効な玩具や手芸品については、前年度の予算分を含め次年度に必要になる。また、本調査環境を整備していくために、事務及び分析研究のための人件費、そしてアンケートの集計委託費の確保が必要となる。
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Research Products
(1 results)