2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒト胎児組織のエピゲノム変化を伴う、ハイリスク・妊娠中マクロ複合環境要因の同定
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16K16202
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
宮宗 秀伸 東京医科大学, 医学部, 講師 (80422252)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 出生コホート / 臍帯 / メチル化変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、産婦人科において妊娠中の母親およびそのパートナーに調査協力を依頼し、同意をいただけた協力者のデータによって、妊娠初期(おおよそ妊娠12週目あたり)から出産時までの母親の生活環境要因と胎児組織(主に臍帯および臍帯血)のメチル化変動の関係、ならびにそれらと関係し得る児の健康影響を評価する試みである。 平成28年度は研究計画に従い、マクロ環境要因(すなわち今回の場合、日本人妊婦における年齢、喫煙の有無、出産回数、栄養摂取状態、世帯収入、学歴などを含む母体の環境要因)と生体内因子(すなわち今回の場合、胎児由来組織とされる臍帯のメチル化状態)の評価を行った。その他、母児に関する情報として、病院における診療記録が用いられた。「千葉大出生コホート(Chiba Study of Mother and Children’s Health)」において調査同意を得た参加者のうちおよそ100名を対象として評価が行われた。その結果、1) 出生時の児の頭囲は、臍帯におけるH19遺伝子のdifferentially methylated region (H19-DMR) のメチル化と相関すること、2) 妊娠初期の母親の栄養状態が臍帯のH19-DMRにおけるメチル化の変動と関係すること、3) 母体の年齢もまた、臍帯のH19-DMRにおけるメチル化の変動と相関する可能性を明らかにした。以上のことから、臍帯におけるメチル化の変動は出生時の児の状態と関係すること。さらにこのようなメチル化の変動は妊娠中の母体環境要因にも関係することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にあった、ポリ塩化ビフェニルと胎児組織のメチル化変動の関係性の評価は予定より遅れているが、母体の栄養状態と胎児組織のメチル化変動の関係性の解析など、予定よりも大きく進んでいるものもある。全体としては、概ね予定通り進行しているものと評価された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、引き続き解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、1) ポリ塩化ビフェニルの解析など、一部の研究に若干の遅延が生じていること、さらにこれまでに、2) 想定よりも少ないサンプル数で、妊娠中母体環境要因と胎児組織のメチル化変動の関係が見出されたことが挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析するサンプル数を増やすと同時に、環境要因をより多角的に評価し、さらに動物実験による詳細解析において、より大きく予算を割くものとする。
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