2016 Fiscal Year Research-status Report
疫学研究と実験研究による食塩摂取の糖尿病発症・増悪に対する影響の検討
Project/Area Number |
16K16300
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
中尾 元幸 久留米大学, 医学部, 准教授 (60610566)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 生活習慣病 / 糖尿病 / 生活習慣 / 食習慣 / 健診 |
Outline of Annual Research Achievements |
疫学的研究については、健診センターより既存の健診(人間ドック)データ提供を受けた。健診(人間ドック)データには血液検査やCT検査等の臨床検査データ、既往歴や家族歴、食事行動や運動などの生活習慣についての調査、ストレス等に関するデータが含まれる。対象人数は当初の予定では検診受診者のうち500名であったが、より多様で信頼性の高い解析を行うため、対象人数の追加を検討した。HR-QoL等を組み込んだ独自の調査票では既存のデータの使用が不可能であり、新規に募集する必要があるので、対象者数は限られた数となるが、既存の健診(人間ドック)データを用いることで対象者数の追加が可能なことから、初年度は独自の調査票の使用を取りやめ、既存の健診(人間ドック)データの提供を受けた。これにより過去にさかのぼってデータ解析を行うことが可能となり、対象人数も当初の予定に比べて大幅に増加させることが可能となった。調査票、検査項目の形式が現在用いられているものとほぼ同じ形式となった1998年度から2年おき(最近4年分は連続して)の人間ドック(1日ドックまたは2日ドック)健診データの提供を受け、現在これらデータの統合と解析のための作業(各年によって異なる書式の統一や欠測値の処理等)を行っている。実験研究については、動物実験で糖尿病モデルマウス(db/bd、KK、NSY、AKITA、TSOD(及び対照のTSNO)の各系統)を購入し、通常飼料での飼育下において、血糖値等の血中マーカーの追跡による糖尿病発症、進行についての予備的な検討を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
疫学的研究において、研究の対象者を健診受診者500名から、独自の調査票を用いないことにより、大幅に増加させた。このことにより、より信頼性が高く、多様な解析が行うことが可能となったが、その一方で健診(人間ドック)データ数が数万件以上と大きく増加したため、それに伴う作業負担も増大し、データの統合や処理、解析に予想以上の時間を費やすこととなった。実験研究については予備実験の段階であるが、実験動物での病態の進行が想定していたよりも遅く、条件検討は未だ完了していない。
|
Strategy for Future Research Activity |
疫学的研究については初年度に提供を受けた健診(人間ドック)データの解析を継続するとともに、未だ提供を受けていない年度のデータの提供を受ける。既存の健診(人間ドック)データの解析では健診(人間ドック)項目にない血中マーカー等の解析は行えないので、健診(人間ドック)データの解析、また実験研究の結果によっては新たに検診を受ける被験者からの残余血清の提供を受けることも考慮する。実験研究については動物実験の予備検討が終了後、塩分負荷や運動負荷の影響について実験を行い、血中マーカーや遺伝子、タンパク質の発現等の所見から培養細胞を用いたin vitro実験系の構築ができないか検討する。
|
Causes of Carryover |
実験研究において、糖尿病モデルマウスを用いた動物実験系の予備検討を行っているが、当初想定していたよりも病態の進行が遅く、実験が初年度中に終了しなかった。そのため、動物実験の予備検討は次年度以降も継続している。上記のような状況であるため、初年度は実験研究(動物や実験用試薬の購入)に用いることを予定していた額をあまり使用せずに終了してしまい、次年度への持ち越しが発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験研究において、初年度に終了させることができなかった動物実験の解析用試薬やin vitro実験系の構築に用いる。それに加えて、疫学的研究では当初の予定に比べて大幅に対象者数を増加させたため、当初予定額よりも健診(人間ドック)データの授受に係る費用が多く発生している。次年度も初年度と同様に既存の健診(人間ドック)データの提供を受ける予定であるため、当初予定額よりも関係費用が発生すると考えられる。以上のような状況から、繰り越した予算をデータ授受に関する費用として使用することも考慮している。
|
Research Products
(1 results)