2016 Fiscal Year Research-status Report
有勾配トンネル火災における固定式垂れ壁の煙抑止効果に関する研究
Project/Area Number |
16K16364
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
清家 美帆 金沢大学, 機械工学系, 研究協力員 (70757244)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トンネル火災 / 固定式垂れ壁 / 縦断勾配 / 煙 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はこれまで非常用設備・換気設備のない延長500m以上1000m以下の道路トンネルに対して天井に固定式の垂れ壁を設けることで,火災により発生した天井に沿って遡上する煙の抑止効果に着目し,避難安全性の向上を図るための立案を行った..そこで本研究では,平成27年度中(科研スタート支援)に製作した模型トンネルを用い縦断勾配を有する模型実験にて煙挙動の調査を行い,有勾配時の実験を可能とした.研究実績の概要としては以下のとおりである. 1.模型トンネル火災実験の実施:無勾配時のデータは有勾配時のデータと比較を行う際の基礎データとなり,非常に重要である.そこで研究代表者は無勾配での模型トンネルにて火災実験を実施し,本内容を日本機会学会年次大会2016にて発表した. 2.有勾配時の模型トンネル火災実験の実施:ジャッキを用いて実験模型トンネルを持ち上げることで,2%,4%の縦断勾配を模擬することができた.実験計測機器である熱電対を製作し,熱気流層厚さ及び火災規模による温度変化の計測を行った.またレーザ煙濃度計による計測,ビデオカメラにて垂れ壁近傍を撮影することで垂れ花弁棒の煙挙動の計測を行った.本内容は,国際会議に投稿予定である. 3.固定式垂れ壁設置時の実大トンネル火災シミュレーションン実施:研究代表者が考案したCFDシミュレーションと避難シミュレーションとを連成させた評価を行うために,まず700mのトンネルに対して固定式垂れ壁を100m間隔にて設置した場合の火災シミュレーションを行い,避難シミュレーションを行った.本内容は,国際ジャーナルに投稿予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究がおおむね順調であると考える理由は以下のとおりである. 1.有勾配時に必要な基礎データである無勾配時の模型トンネル火災実験を実施し,日本機械学会年次大会2016にて発表している.発表時,多くの質問を受け,発表内容について多くの研究者,技術者から高い評価をいただいた. 2.模型トンネルに縦断勾配をつけ,かつ煙濃度計測装置の設置も完了していることから,実験による計測については概ね出来上がったと考えている. 3.実験データの整理に合わせて,シミュレーションによる計算の準備も始めている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は下記のとおりである. 1.実験結果の取り纏めを行い,トンネル火災時の垂れ壁が設置された場合の縦断勾配による熱気流の挙動,煙挙動について調べ,無勾配時とどのように異なるのか調べる. 2.縦断勾配を有するトンネル火災時のCFDシミュレーションによる垂れ壁設置時の煙挙動についての調査する.シミュレーションを実施して,模型トンネル火災実験結果との比較を行う.なお,シミュレーションを実施する際は,模型トンネルを実大換算した状態で実施する.実験結果との比較を行うことで,シミュレーションの高精度化を図る. 3.CFDシミュレーションと避難シミュレーションによるトンネル火災の垂れ壁の効果についての調査し,経済的かつ効果的な垂れ壁の設置間隔の検討する.
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