2017 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism elucidation of iron metabolism abnormality and sarcopenia onset in chronic renal failure
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16K16603
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
堀ノ内 裕也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (30716593)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 慢性腎不全 / サルコペニア / 鉄 / 鉄代謝異常 / 加齢・老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、慢性腎不全(CRF)におけるサルコペニアについて鉄代謝異常の観点から、そのメカニズム解明を目指し、治療法につながる基盤を確立することである。 前年度に、CRFモデルマウス(CRF群)を作製し、vehicle投与対照群と比較した結果、CRF群では体重・骨格筋重量の低下とともに筋特異的E3ユビキチンリガーゼであるMAFbx/atrogin-1とMuRF-1(muscle ring finger-1)の遺伝子発現の増加が認められ、骨格筋萎縮が引き起こされているとともに血清ヘプシジン濃度の上昇、生体内ならびに骨格筋鉄量の増加を確認することができた。 本年度は、そのメカニズムを解明するために骨格筋における鉄蓄積と酸化ストレスの関連性について検討を行った。CRF群の骨格筋において鉄取り込みタンパク質トランスフェリン受容体と鉄排出輸送体フェロポルチンの発現低下が認められた。また、鉄貯蔵タンパク質フェリチン重鎖とフェリチン軽鎖の発現が増加していた。これらの結果より、骨格筋において鉄代謝異常が引き起こされ、鉄が蓄積されていることが示唆された。 また、鉄はFenton/Haber-Weiss反応を触媒して、ヒドロキシルラジカルを生成し酸化ストレス障害を引き起こす。従って、Hydroxyphenyl Fluorescein染色とDihydroethidium染色を用いて、酸化ストレスについて検討を行ったところ、CRF群の骨格筋において、ヒドロキシルラジカルとスーパーオキサイドの産生増加が認められた。 以上の結果より、CRFの骨格筋においては鉄代謝異常により、蓄積した鉄がFenton/Haber-Weiss反応を介して酸化ストレス障害を引き起こし、骨格筋萎縮の原因になっている可能性が示唆された。
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