2016 Fiscal Year Research-status Report
<女性のリズム>に関する史的研究―日米比較を軸として―
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16K16671
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
横山 美和 お茶の水女子大学, 基幹研究院, リサーチフェロー (70725267)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 科学とジェンダー / 科学史 / 医学史 / 月経周期 / 基礎体温 / オギノ式 / 産児制限 |
Outline of Annual Research Achievements |
「<女性のリズム>に関する史的研究―日米比較を軸として―」は、19世紀後半に現れた、月経周期に沿った生理的な変動、すなわち<女性のリズム>という考え方の受容と展開に関する歴史の日米比較を行うことにある。初年度である平成28年度は、文献調査と史料調査を計画し遂行した。
文献調査として、1)月経のメカニズムや排卵時期の解明、基礎体温研究、ホルモン研究等の婦人科学史、2)荻野久作に関する伝記的研究の調査、3)月経前や月経中の不快症状に関する米国及び日本の言説の変遷について調査を計画した。1)に関しては、医学専門誌等を調査し、<女性のリズム>という考え方に先鞭をつけたと考えられるM.P.ジャコービーの女性の体温研究を位置づけるとともに、基礎体温研究の歴史をまとめ、9月に開催された国際ジェンダー学会2016年大会(於:一橋大学)において口頭発表した。2)に関しては、荻野久作に関する伝記的記述を可能な限り収集し、伝記的事実をまとめた。3)に関しては、月経前の不快症状である月経前困難症に関して、米英における論争をレビューした文献を調査した。
史料調査として、1)国会図書館、新潟大学、新潟市立図書館での荻野久作関連の史料の調査、2)日本における荻野学説の人々の受容に関わる史料の収集を予定した。1)と2)に関しては、新潟大学医歯学図書館に赴き、荻野久作の学術研究に関する史料や、1900年前後の米国の婦人科学の書籍・専門誌を調査し複写を行った(その過程で、ジャコービーの"Wave"概念の受容と展開についても一部資料を入手することができた)。また、新潟市立図書館においても荻野久作の伝記的な資料を複写することができ、文献調査と合わせて荻野久作の伝記的概要については概ねまとめることができた。また、国会図書館で荻野学説が発表された当時の婦人雑誌等の調査も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に予定していた、荻野久作関連、基礎体温研究の歴史、月経前困難症に関する文献調査や史料調査が順調に進んでいるため。基礎体温研究の歴史の研究については、国際ジェンダー学会2016年大会(於:一橋大学)において口頭発表をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は文献調査・史料調査を中心とし、月経周期に沿った生理的な変動、すなわち<女性のリズム>という考え方の受容と展開に関する歴史の日米比較を行うことを目的としている。平成28年度は、日本において収集できる文献や史料の調査を行った。 平成29年度においては、前年度に引き続いて、月経周期に関する医学文献や荻野学説の受容、月経困難症に関する論争について調査を行う。また、米国に赴き、M.P.ジャコービーの史料を中心として収集するほか、荻野学説の米国における受容を調査する予定である。帰国後は米国で収集した史料等を整理・分析し、日本との比較を行う。前年度収集した文献等と合わせて、成果を論文の形で発表することを目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は以下である。1)新潟の図書館調査を2泊で予定していたが、子どもの病気で予定を変更せざるを得なくなり、1泊となった。2)発表した学会が東京開催のもののみであったため学会発表用の旅費が不要となった。3)資料整理補助として学生アルバイトを依頼する予定であったが、依頼できる人がみつからず、自分で資料の整理を行った。4)論文の英文要旨校正を見込んでいたが、論文の執筆までは至らず不要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、当初計画にはなかったが新潟に再び調査に赴くこととする。新潟大学医歯学図書館で1900年前後の医学誌等を追加調査するほか、荻野久作の勤務医院であった竹山医院の史料を調査したい。また、荻野久作を扱ったテレビ番組資料の収集にも努めたい。
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Research Products
(1 results)