2018 Fiscal Year Annual Research Report
Realisms in French Avant-garde Art from 1900 to 1950 and the Two World Wars
Project/Area Number |
16K16727
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平田 裕美 (松井) 名古屋大学, 人文学研究科, 特任助教 (40774500)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | キュビスム / ナショナリズム / ユートピア / レアリスム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の成果は、次の4点に要約される。 1)1920年から1960年までのレアリスムをめぐる言説とナショナリズム、ユートピア思想との関係性に関する調査をフランス国立図書館で行った。またフランスでのそうした動向をドイツやイギリスのそれと比較することで、各国の芸術と政治の関係性についての特色を理解した。こうした結果については、国際会議「Realisms of the Avant-Garde」(ミュンスター大学)および国際会議「Avant-Garde Realisms in 20th-Century Visual Culture and Literature, 1914 - 1968」(名古屋大学)で発表した。 2)1920年から1950年までのキュビスム作品の購入履歴をフランス国立公文書館で調査した。このことにより、国家制度の中に前衛芸術が受け入れられていくプロセスの一部が判明した。こうした成果については、研究会「キュビスムと公共空間」(東京大学)において発表した。 3)上記1および2における研究の進展を踏まえた上で、今年度は、大戦間期に成立した美術をめぐる政治思想的な言説が第二次世界大戦以降の文化業界にどのような余波を与えたのかを考察することにもあてた。とりわけ美術の国際化やアメリカの抽象表現主義との関わり、大戦間期に登場し戦後のフランス文化においても重要な位置を占めた社会主義レアリスムとの関係について考察を広げた。この主題に関する意見交換を目的とし、サラ・ウィルソン(コートールド美術史研究所教授)およびロミー・ゴラン(ニューヨーク市立大学教授)を招聘し、ワークショップ「芸術と政治社会のダイナミズム」を早稲田大学で開催した。 4)研究の総まとめとして、単著『キュビスム芸術史』(名古屋大学出版会)を執筆し、キュビスムをレアリスムが複層化していく歴史のなかで新たに捉え直した。
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Research Products
(9 results)