2018 Fiscal Year Annual Research Report
Basic Research in Philosophical and Theoretical Discourses on Classical Hollywood Cinema
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16K16755
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木原 圭翔 早稲田大学, 坪内博士記念演劇博物館, その他(招聘研究員) (30755731)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 古典的ハリウッド映画 / ジョージ・キューカー / フランク・キャプラ / スタジオ・システム |
Outline of Annual Research Achievements |
古典的ハリウッド映画の作品分析 本研究の中心課題は古典的ハリウッド映画をめぐる言説分析であるが、対象となる映画作品に対しては具体的な画面分析も合わせて行う必要がある。古典的ハリウッド映画を代表する監督には、ジョン・フォード、アルフレッド・ヒッチコック、ハワード・ホークスなど、 多くの有名監督の名が挙げられる。本研究では、平成29年度に研究対象としたスタンリー・カヴェルが、自身の研究において重視した二人の映画監督(ジョージ・キューカーとフランク・キャプラ)に着目し、彼らの作品が持つ古典性の諸相を集中的に分析した。 キューカーの監督作品は大きく前期(1930-1940)、中期(1941-60)、後期(1961-1980)に分けることができるが、これらの区分は古典的ハリウッド映画の黄金期、変容期、衰退期とほぼ重なる。本研究では、それぞれの時期で特に重要とされる諸作品(『椿姫』(Camille, 1937)、『アダム氏とマダム』(Adam’s Rib, 1949)、『チャップマン報告』(The Chapman Report, 1962)等)を順に分析し、古典的ハリウッド映画の物語叙述における「透明性(transparency)」の美学の実態を分析した。 キャプラについては、1930年代の古典的ハリウッド映画を考察するうえにおいて、今なお重要な指標とされる『或る夜の出来事』(It Happened One Night, 1934)を主要な分析対象として取り上げた。主演俳優をめぐる同時代の言説を参照しつつ、登場人物たちが見せる特異な身体の活用に着目し、本作におけるその物語的機能の実態を分析した。
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