2018 Fiscal Year Annual Research Report
A study of Translation Discourse and The Concept of Literature about Uchida Fuchian in the middle of the Meiji period.
Project/Area Number |
16K16780
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
大貫 俊彦 千葉工業大学, 工学部, 助教 (70738426)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 内田不知庵 / 翻訳文学 / ディケンズ / ドストエフスキー / ドラマ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度に実施した研究成果について、実施計画と照らし合わせながら報告する。平成30年度は平成29年度の研究成果に研究を追加したものを論文化し、さらに二つの方針で研究を進めた。 まず、平成29年度に研究発表をした成果を平成30年度に論文化し公表した(「文芸批評家内田不知庵と翻訳の文体」『国文学研究』第186集、2019年10月)。本論文は先述の通り、平成29年度の研究成果を論文化したものだが、執筆に際し新たに平成30年度に取り組むことになっていた研究の成果を取り入れた。具体的には、当初の計画で記した「明治中期に活躍した同時代の翻訳者との「翻訳規範」における相違性」を本文中で検討した。その理由は、上記の論文において、平成30年度の研究計画にも入れていたディケンズの「黒頭巾」を集中的に論じるにあたり、本論文でまとめて議論をした方がより考察に厚みが増すと考えたからである。また、その過程において翻訳規範を検討する作家(森田思軒、二葉亭四迷、饗庭篁村)のうち饗庭篁村を森鴎外に変更したが、鴎外は明治20年代中期を代表する翻訳者であるため、より適切な変更であったと認識している。 続いて、やや進捗に遅れが生じていた「不知庵の文学論の集大成である『文学一斑』の刊行後に発表されたドストエフスキー『罪と罰』の翻訳表現」に関する研究に着手した。これについては平成29年度に遅れていた原因であった「言語規範の意味と効果」を「同時代の評価を重ね合わせて研究する」に集中的に取り組むことで、成果を発表する段階までに研究を行うことができた。 また、本研究課題全体を通した成果の一つとして得られた内田魯庵の翻訳作品「心中男」のテキストを資料紹介として公表する予定になっている(原稿は提出済)。
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Research Products
(3 results)