• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2017 Fiscal Year Research-status Report

空白の5ヶ月をめぐって――アメリカ遠征軍短期留学制度と戦間期文学の誕生

Research Project

Project/Area Number 16K16789
Research InstitutionRyutsu Keizai University

Principal Investigator

三添 篤郎  流通経済大学, 経済学部, 准教授 (40734182)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsアメリカ文学・文化 / 戦間期 / 学術制度史 / 海外留学
Outline of Annual Research Achievements

平成29年度は、アメリカ遠征軍短期留学制度を、大きな歴史的枠組みに位置づける作業を引き続き進めた。さらに短期留学生の個別事例として、作家のジョン・ドス・パソスと、批評家のマルカム・カウリーについて、アメリカ議会図書館ならびにヴァージニア大学にて在外調査を行った。
在外調査で収集できた関連資料はきわめて多岐にわたる。ジョン・ドス・パソスに関しては、ソルボンヌ大学におけるみずからの留学体験をつづった手紙等を発掘することができた。また、マルカム・カウリーがモンペリエ大学留学中に記した諸エッセイ群が、のちに失われた世代の初のメモワール『亡命者の帰還』に結実していくプロセスの一端も明らかになった。これにより、アメリカ遠征軍英仏短期留学制度と失われた世代のつながりが、よりいっそう明確になってきた。
さらに昨年度同様、20世紀初頭のアメリカ大学制度史を調査している過程で、当初の計画では予想していなかった同時代の作家も射程に入れることができるようになった。その成果として、失われた世代の作家のひとりとして数え上げられるシャーウッド・アンダーソンの代表作『ワインズバーグ、オハイオ』(1919)を、同時代の高等教育の観点から分析する論考を刊行することができた。合衆国内の大学制度に対する理解がより深まってきたことで、逆に、アメリカ遠征軍の留学制度が当時の教育政策と比較して、いかに特異な試みであったのかを、多角的に把握することができるようになってきている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

アメリカ遠征軍英仏短期留学制度に関する資料収集は順調に進んでいる。また本課題から派生した論文も出版することができているため、本研究は順調に進捗している箇所がある。
一方、前年度からの課題であった『偉大なるギャツビー』論を、当該年度内に学会誌に掲載することができなかったため、遅れが発生している。またジョン・ドス・パソスやマルカム・カウリーのどちらかについて、年度内に学会発表をする予定であったが、資料の読み込みに思いのほか時間を要し発表することができなかった。
総合して全体の進捗状況としてはやや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

平成30年度は、当初の予定どおり、留学制度の広報に関わったのちにノワール文学の祖となったジェームズ・M・ケインに議論を発展させる。そしてノワール文学とアメリカ遠征軍英仏短期留学制度という、これまで明らかにされてこなかった両者のつながりを可能な限り実証的に解明していく。そのためアメリカ議会図書館がアーカイブとして保管する"James M. Cain Papers, 1901-2004"を重点的に調査する。そしてケインが留学制度に関して残した発言等を徹底的に収集していく。また渡米に先立って、第一次世界大戦がノワール文学全般に与えた影響はどこまであるのか、先行研究で入念に下調べをし、アーカイブ調査を豊かなものにするための準備をあらかじめ国内で進めていく。
さらに新批評家ジョン・クロウ・ランサムと留学制度のつながりについても、上記の渡米時期にあわせて在外調査をする。ランサムについては当初、ヴァンダービルト大学でアーカイブ調査をする予定であったが、今回発見することのできたケインのアーカイブがあまりに膨大なため、渡米できる期間と新規性を考慮して、アーカイブ調査はケインを優先することにした。もちろん新批評関連の歴史資料は、議会図書館にも多数に保管されているため、渡米時期にあわせて可能な限り入手する。
そして最終的に、3年間の調査を整理し、アメリカ遠征軍短期留学制度が、戦間期文学を誕生させていく歴史的過程を俯瞰的にまとめていく。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Book (1 results)

  • [Book] "法"と"生"から見るアメリカ文学2017

    • Author(s)
      杉浦 悦子、越川 芳明、鷲津 浩子
    • Total Pages
      346
    • Publisher
      悠書館
    • ISBN
      9784865820287

URL: 

Published: 2018-12-17  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi