裁判員裁判における殺人罪の量刑判断に関する研究

2016 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K17014
• Research Institution: Nagasaki Institute of Applied Science
• Principal Investigator: 柴田 守 長崎総合科学大学, 共通教育センター, 准教授 (90551987)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 裁判員裁判 / 量刑 / 刑事政策 / 機械学習 / 刑事法 / 殺人罪 / 死刑 / 懲役

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、判例データベース（LEX/DBインターネット）に掲載された裁判員裁判における殺人罪（未遂罪等を含む。）を対象に、応募者が前研究で取り組んだ新たな量刑の数量化モデル（統計的機械学習を用いた量刑予測モデル）を用いて、その量刑判断に関する各基準、死刑と無期刑、無期刑と有期刑、刑期、実刑・執行猶予の判断基準などを明らかにするものである。研究初年度である平成28年度は、当初の計画どおり下記のことを行った。
■分析サンプルの収集とデータ入力■　平成28年度は、平成27年12月までに判例データベース（LEX/DBインターネット）に掲載された裁判員裁判における殺人罪（未遂罪等を含む。）の事件659件、及び平成年間の死刑（求刑事件、再審請求事件なども含む。）に関する事件890件について、判決書全文のデータをPDFで収集して、それらを一通り目を通した上で、分析対象の選別を行った。そして、選別した分析対象を研究アシスタントとともに手分けをして読み、調査票への記入を行うとともに、それらのデータをExcelに入力して、分析・学習用データを作成した。
■分析方法の改良と精緻化■　平成28年度は、前研究で取り組んだ新たな量刑の数量化モデル（統計的機械学習を用いた量刑予測モデル）の改良・精緻化を行うべく、①量刑理論に関する研究書や研究論文を収集して精読する、②量刑分析に関わる第一人者と情報交換する、③関連する学会や研究会に参加して情報交換を行うなどして、いくつかの量刑因子（たとえば前科・前歴など）の影響度合いに関する計算方法に関する再検討を行った。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当方の研究計画調書においては、「平成28年度は、平成27年度末まで判例データベース（LEX/DBインターネット）に掲載された裁判員裁判における殺人罪（未遂罪等を含む。）について、調査票に記入して、EXCEL へのデータ入力を行う（集中的実施期間：平成28年4月～12月）。」としていた。研究開始は平成28年7月からとなったが、当初の計画どおりに予定していた作業をこなすことができた。これは、当初の研究計画において補足的実施期間（平成29年1月～3月）を設定していたからである。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度は、当初の計画どおりに下記の作業を行う。
■分析サンプルの収集とデータ入力■　平成29年度は、平成28年度末までの判例データベース（LEX/DBインターネット）に掲載されたサンプルを追加収集して、調査票へ記入、EXCEL への追加入力を行う（平成29年4月～12月）。
■分析方法の改良と精緻化■　平成29年度も、前研究で取り組んだ新たな量刑の数量化モデル（統計的機械学習を用いた量刑予測モデル）の改良・精緻化を行うべく、①量刑理論に関する研究書や研究論文を収集して精読する、②量刑分析に関わる第一人者と情報交換する、③関連する学会や研究会に参加して情報交換を行うなどして、量刑因子の影響度合いに関する計算方法に関する再検討を行う。
■分析結果の発表■　そして、平成29年度は、これまでの分析・学習用データをもとに量刑の数量化モデル（統計的機械学習を用いた量刑予測モデル）を用いて分析し、その結果を当方が所属する大学の紀要に投稿する予定である（集中的実施期間：平成29年10月～平成30年3月）。

Causes of Carryover

ほぼ予定どおり使用したが、10円未使用額が生じた。無理して使用する必要はないと判断し、次年度に繰り越した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

物品費に加算する形で使用する予定である。