2018 Fiscal Year Research-status Report
執政制度とコーポラティズムの関係変容:フランス家族政策を事例に
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16K17044
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
千田 航 釧路公立大学, 経済学部, 講師 (80706747)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 家族政策 / フランス / 福祉国家 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究成果をまとめ、本研究の成果公表として単著『フランスにおける雇用と子育ての「自由選択」』を公刊することができた。本書はフランスの家族政策を「自由選択」という視点からまとめ、多様な現金給付やサービス給付を提供できる仕組みをいかにしてフランスが作り上げてきたのかを論じている。博士課程からの申請者の研究をまとめたものであるが、本研究がなければ本書の内容がよりよいものになることはなく、公刊すらできなかったと言える。 具体的な取り組みとして、成果公表に向けて、北海道大学附属図書館でフランス家族政策関係の議事録を閲覧するほか、必要な資料の収集を行った。また、学会報告に向けて東京や静岡などで研究報告および研究打ち合わせを行うだけでなく、日本行政学会や日本比較政治学会、一橋大学での研究会などにも参加することができた。これらの出張は釧路公立大学の内部だけでは達成することのできない本研究の理解や成果につながるものであった。 また、本研究に関連する釧路公立大学に所蔵されていない図書の購入なども積極的に行った。 ただし、本研究の理論的枠組みである「政治の大統領制化」と家族政策との関係を直接的な関係として示せていないという状況が生じており、本研究の意義をより積極的に示すために研究期間を延長することにした。 これまでの研究成果をさらに発展させ、当該研究費の研究目的を達成するための成果を平成31年度には出していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
単著を成果公表として刊行できたものの、本研究で注目している「政治の大統領制化」と家族政策との関係はより積極的に位置づけていく必要がある。2000年の憲法改正によって2002年以降はコアビタシオンの発生可能性が下がった。そして、これ以降の家族政策の再編は財政状況の悪化もあってあまり進んでいない。この憲法改正と政策との関係をより明確にする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
より当該研究費の研究目的に沿った成果が挙げられるよう研究会での報告や論文公表を行っていく予定である。 6月には学会報告が確定しており、報告に向けた準備を含めて最終年度としての業績を挙げていく。
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Causes of Carryover |
最大の成果公表業績である単著公刊に資源を集中させた結果、本研究の中心的理論である大統領制化と家族政策との関係をより明確に示すためにも次年度を利用して研究を発展させる必要があると判断した。 成果公表としての学会報告への準備に向けて研究会報告を学外で行いたく、そのための旅費として支出するほか、本研究に必要な図書や資料の収集に使用する予定である。
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[Book] 現代ベルギー政治2018
Author(s)
津田由美子・松尾秀哉・正躰朝香・日野愛郎
Total Pages
282
Publisher
ミネルヴァ書房
ISBN
9784623081219