2016 Fiscal Year Research-status Report
冷戦期におけるエネルギー資源ガヴァナンスの国際的展開と日本外交
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16K17065
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
白鳥 潤一郎 北海道大学, 法学研究科, センター研究員 (20735740)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エネルギー資源 / 主要国首脳会議 / 東京サミット / 大平正芳 / 日本外交 / 第二次石油危機 |
Outline of Annual Research Achievements |
エネルギー資源価格の変動に一般の関心は大きく左右されてきたが、「資源小国」である日本にとってエネルギー資源問題は逃れることのできない重要な政策課題である。本研究は、エネルギー資源ガヴァナンスの国際的展開との連関を重視しつつ、冷戦期における日本のエネルギー資源外交の展開を、第Ⅰ期「国際石油資本優位(~1969年)」、第Ⅱ期「国際石油資本とOPECの相克(1970~73年)」、第Ⅲ期「OPEC優位:消費国間協調枠組の形成(1973~79年)」、第Ⅳ期「OPEC優位から市場の時代へ:消費国間協調枠組の展開(1979~86年)」の4つの時期に分けて検討するものである。本研究の第一年度の研究実績の概要は以下のとおりである。
1.資料収集:国内では外務省外交史料館及び国立国会図書館を中心に、外国ではアメリカのカーター大統領図書館で関連資料の収集及び整理に努めると共に、関連書籍・論文の収集も継続的に進めた。また、関係者への聞き取り調査及び整理を行った。
2.研究発表:第一に、本研究課題と密接に関係する拙著『「経済大国」日本の外交――エネルギー資源外交の形成、1967~1974年』(千倉書房、2015年)を対象とする2件の合評会(CHIR-Japan(国際関係史学会)研究会及び冷戦研究会)に出席し、議論及び意見交換の機会を得た。第二に、第二次石油危機の発生に伴ってエネルギー資源問題が主要議題となった東京サミット(1979年)における日本外交について、2016年度日本国際政治学会研究大会(部会3「戦後日本外交史研究の現在」)で報告を行った。この結果として、第Ⅰ期~第Ⅲ期を貫く視座と見通しが得られ、日本政府内の対立構図が第Ⅲ期に入って変容したことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
諸般の事情から実際の研究拠点(自宅)が研究機関の遠隔地となる一方で、主たる資料調査先である外務省外交史料館の利用が容易になったことから、当初の予定を前倒しして、第二年度に予定していた第Ⅲ期「OPEC優位:消費国間協調枠組の形成(1973~79年)」に関する資料収集及び分析を進めることが出来た。また、これに合わせて海外での調査先も前倒しする形となった。他方で、研究成果を活字として報告する段階には至らず、両者を総合して「おおむね順調に進展している」と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に加えて第二年度に行う予定だった第Ⅲ期に関する研究を第一年度に前倒しする形になったことから、第二年度は引き続き第Ⅰ期~第Ⅲ期に関する研究を進める。また、第一年度に訪問先を変更した外国での資料収集は予定を入れ替える形で第二年度に実施したい。また、第一年度の研究成果を査読論文として公刊することを目指す。
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Causes of Carryover |
諸般の事情で実際の研究拠点(自宅)が研究機関の遠隔地となる一方で主たる出張先として想定していた外務省外交史料館及びインタビュー実施場所が近くなったことを主たる理由として、旅費の支出が予定と若干の変更となったこ。また、当初の予定よりも書籍購入費が若干増えたことで、差し引き約10万円の残金となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
約10万円の次年度使用額があるが、これは初年度に予定を変更した海外資料調査の次年度実施分に充当することを予定している。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] 解題2016
Author(s)
服部龍二・白鳥潤一郎
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Journal Title
國廣道彦(解題:服部 龍二、白鳥 潤一郎)『回想 「経済大国」時代の日本外交――アメリカ・中国・インドネシア』
Volume: -
Pages: 457-468
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