2016 Fiscal Year Research-status Report
企業ダイナミクスにおいて共同研究が果たす役割:特許データを用いた定量分析
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16K17128
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
蟹 雅代 帝塚山大学, 経済学部, 准教授 (20509187)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 共同研究 / 特許 / 企業ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、特許データを利用して企業の技術構成の変化を客観的に評価し、その上で変化を促す活動として共同研究の役割に注目する。各特許を技術クラスターに分類し、クラスター内で共同出願・共同発明はどのようなタイミングで出現するのか、また当該クラスターはその後どのように変化していくのかを検証することで、企業の共同研究と技術構成の変化の関係を実証的に示すことを研究目的としている。この目的を達成するため、まず特許データから分析用のデータセットを構築し、それを用いて定量分析を進めていく計画である。 平成28年度は、データセットの構築に関して、特許データから共同研究を識別するため、データを精査し、データ作成を進めてきた。具体的には、共同出願や共同発明の識別や産学連携特許や企業間連携特許の識別である。また、技術クラスターをどのように設定するかについて、先行研究を参考にして検討を重ねてきた。さらに、データセット作成段階ではあるが、今後の定量分析の指針を得るため、特定の企業の特許を取り出し、共同研究がどのようなタイミングで起きているか確認した。すなわち、当該企業について、技術クラスター内で各特許が出現するまでの経過時間(各技術クラスター内で最初の特許出願日を起点とする)を計測し、その経過時間データの基本統計量に見ることで共同研究が出現するタイミングを検証した。その結果から、企業属性を考慮した定量分析を行う際の論点が確認できた。以上のように、本年度はデータを精査しながらデータセットの構築を行い、また今後の定量分析への示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、平成28年度にデータセットの構築を行うことを予定していた。具体的には、特許データから共同研究の識別、産学連携特許や企業間連携特許の識別、企業データとの接続、技術クラスターの検討を行うことである。平成29年度は、その作成したデータセットを利用して、共同研究がどのようなタイミングで起こるか定量分析を行うことを予定している。 平成28年度の進捗状況は、データセットの構築における識別作業や技術クラスターの検討に時間を要しているため、データセットの完成が遅れているが、この部分は十分な検討が必要な段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、データセットを完成させ、定量分析を行う。技術クラスター内での各特許が出現するまでの経過時間(各技術クラスター内で最初の特許出願日を起点とする)を分析し、共同研究が出現するタイミングを検証する。また、個別企業の共同研究のタイミングを観察したところ、本研究での分析は企業属性に依存する可能性が示唆されているので、企業属性が共同研究の出現のタイミングにどのように影響するかも十分に考慮し分析を進めていく。得られた研究結果に基づき論文を執筆し、研究会や学会で発表してコメントを得て、研究成果をまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度の進捗状況において、データセットの構築に多少遅れが生じており、企業データ購入が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額はデータ購入に用いる予定である。
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