2017 Fiscal Year Research-status Report
企業ダイナミクスにおいて共同研究が果たす役割:特許データを用いた定量分析
Project/Area Number |
16K17128
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
蟹 雅代 帝塚山大学, 経済学部, 准教授 (20509187)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 共同研究 / 特許データ / 企業ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、特許データを利用して企業の技術構成の変化を客観的に評価し、その上で変化を促す活動として共同研究の役割に注目する。各特許を技術クラスターに分類し、クラスター内で共同出願・共同発明はどのようなタイミングで出現するのか、また当該クラスターはその後どのように変化していくのかを検証することで、企業の共同研究と技術構成の変化の関係を実証的に示すことを研究目的としている。 この目的を達成するため、平成28年度に引き続き、特許データから分析用のデータセットを構築し、定量分析を行った。まず、データセットの構築について、企業変遷による断絶が起こらないようにNISTEP企業名辞書を利用して特許データを名寄せしたうえで、各企業で特許データを技術クラスターで整理し、技術クラスター内での初出願や初出願からの経過期間を計測した。また、各特許出願について出願の種類(単独or共同)を識別した。 分析結果について、記述統計で見ると、技術クラスター内で初出願ではない場合において共同出願の割合は全出願の12%であるのに対して、初出願の場合は29%であり、両者の間には統計的に有意な差があることがわかった。企業の資本金規模別で分析しても、同様の結果が得られるが、例えば資本金10憶円以上の企業では特許出願数自体が多いため、分母が大きくなり、割合が小さくなる傾向が見られた。そこで、企業属性や技術分類をコントロールする定量分析を行ったところ、当該技術分野で初出願の場合共同出願が行われる確率が5.4%(平均限界効果)上昇することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データセットの構築における識別作業等の遅れや研究計画と比較して企業属性との関係を深堀して分析を進めており、そのため年度内に論文の発表を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度も引き続き、分析結果に基づき論文を執筆し、研究会や学会で発表してコメントを得ていく。分析を精査しつつ、研究成果をまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
論文執筆や学会発表の計画を次年度に延期したため、補助期間を延長した。次年度に英文校正費用や学会旅費として使用する。
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