2021 Fiscal Year Research-status Report
衣料産業におけるグローバルな都市間分業―持続的都市成長の原動力――
Project/Area Number |
16K17242
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
三田 知実 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (20707004)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グローバルな高級衣料文化生産の場 / グローバルな純粋生産と大量生産のコントロール / 都市細街路の再成長 / 地元地域住民の下支え / 不動産投資信託(REIT) / 外資系高級ブランド大資本による投資 / 巨大資本のグローバル金融への参入 / グローバル経済と文化生産の結びつき |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、グローバル経済の成長により生まれた高級街区と、その裏にある、衰退した住宅街から衣料デザインのグローバルな拠点として、社会的、文化的、経済的に成長した都市細街路が、どのような変化をたどったのか。この問いを明らかにし、都市社会学の文脈で考察を深めることを目的とした著書『裏原宿・表参道のファッション都市社会学――衣料文化生産と不動産投資』を、花伝社より刊行される。7月9日(土)に入稿が決定。8月上旬刊行にむけて、現在編集者とともに、最終調整を行っている。 1980年代以降の衣料産業のグローバルな再編のもと、都市間分業体制が発達してきた。衣料そのものの製造が新興工業諸国の都市で行われる傾向が強まるいっぽうで、衣料の付加価値を決めるデザインは、先進国諸都市で行われるようになった。高級街区・表参道と都市細街路・裏原宿がその舞台であることを、描いてきた。 ピエール・ブルデューが言うところの、「場(Champ)」という想像上の社会空間をもとに、グローバルな高級衣料文化生産の場が形成されており、高級衣料文化生産者は、グローバルな純粋生産と大量生産をコントロールしながら、衰退傾向にあった都市細街路を、「裏原宿」として成長させた。 こうして、グローバル経済のコントロール機能に必要不可欠な知識生産、高級衣料文化のグローバルな衣料文化生産が結びつきながら、高級街区・表参道と都市細街路・裏原宿が持続的都市成長を続けている。その土台として、地元の新地域集団が、街区のまちづくり機能を保有している。 とくに現在の表参道と裏原宿では、高級衣料文化生産者、セレクトショップの個人事業主や地域住民だけでなく、外資系高級ブランド大資本、巨大資本や投資家までの利害が一致した。つまり、グローバル経済に外資系高級衣料巨大資本が参入したのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
(1)本研究事業採択直後に、2016年4月14日以降の熊本地震による自宅および研究室の被災により、研究を開始する環境が整うまでに、約1年かかったため。 (2)熊本地震に加え、2016年以降毎年発生した豪雨災害による学生安否確認、自身の被災により研究の中断を余儀なくされたため。 (3)2018年12月下旬に、重い腎臓の病気による入院と、その後遺症からの回復までに時間を要したため。 (4)2020年2月以降のパンデミック発生により、調査研究の中断を余儀なくされてきたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に、本研究の成果物として、著書『裏原宿・表参道のファッション都市社会学――衣料文化生産と不動産投資』を、花伝社より刊行する。7月9日(土)に入稿が決定。8月上旬刊行にむけて、現在編集者とともに、最終調整を行っている。 震災、豪雨災害と重度の疾病により大幅に調査研究が遅れているが、成果物としての著書を、2022年度中に刊行できる。それにより、遅れをカバーできるものと考えられる。 今後は、国際学会報告や、海外学術雑誌への投稿を行ってゆく。
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Research Products
(1 results)