2022 Fiscal Year Annual Research Report
Sustainable Power of Urban Growth from the Standpoint of the Global Division of the Industries of Upscale clothing
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16K17242
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
三田 知実 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (20707004)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 都市衣料文化生産 / 高級衣料産業のグローバルな再編 / 高級衣料製造業都市 / グローバル経済の進行 / 高級衣料産業の不動産投資 / 都市社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
シカゴ学派都市社会学の登場以降、都市社会学者は長いあいだ、都市の成長が何を生み出すのかという問いにたいする答えを追求してきた。 しかし1980年代以降、グローバル経済の進行により、工場が新興工業国へ移転し、大都市の衰退を促した。こうした社会背景のもと、現代の都市社会学においては、何が都市成長を促すのかという切実な問いにたいする答えをも追求し始めている。 これまでの都市社会学において、芸術生産や衣料文化生産が都市成長の原動力となるという視点から、ニューヨーク、シカゴやミラノの中心部を事例とした先行研究が蓄積されてきた。 先行研究のレビューをもとに本研究事業は、東京都渋谷区神宮前における都市細街路が、衰退傾向にあった住宅街から衣料デザインのグローバルな拠点へと変容し、その後、都市細街路・裏原宿と高級街区・表参道の土地建物に対する投資が活発になった過程、および裏原宿や世界の衣料デザイン部門とグローバルな結びつきのある倉敷市児島の高級衣料製造業都市の再成長過程を明らかにした。 裏原宿や倉敷市児島の事例記述を通じて明らかになることは、衰退傾向の都市細街路「裏原宿」が持続的に成長する原動力として、都市衣料文化生産がグローバル経済を牽引する投資を促し、それを支える土台として、地元地域住民によるまちづくりが重要な役割を果たしてきた。それが倉敷市児島のような高級衣料製造業都市の再成長を促す要因となることを見いだした。 本研究事業は、地元住民により形成されたローカルな地域社会と、グローバル経済を牽引する投資と、高級衣料産業のグローバルな都市間分業に着目し、都市再成長の原動力となる過程を追求してきた。それゆえ本研究は、サッセンが述べたグローバル都市、都市衣料文化生産、まちづくり、そして高級衣料製造業都市の結びつきを、多角的に明らかにした現代都市社会学研究として、学術的に位置づけられる。
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Research Products
(1 results)