2017 Fiscal Year Research-status Report
終末期ケアにおける多職種連携-ソーシャルワーカーのコンピテンシーに関する研究-
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16K17282
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
上山崎 悦代 兵庫医療大学, 共通教育センター, 講師 (80711655)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多職種連携 / 終末期ケア / ソーシャルワーカー / コンピテンシー / 研修プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に実施した研究は主に次の2点である。1つ目は、平成28年度に実施した、特別養護老人ホームに勤務する多職種対象の個別インタビュー調査の分析である。調査対象者は、研究代表者が所属する「日本福祉大学終末期ケア研究会」で検討した多職種連携教育(IPE)プログラムの一つである「振り返りカンファレンス」に参加しており、本カンファレンスの成果や課題などを明らかにすることが調査の目的である。このカンファレンスは、本研究プロジェクトの「研修プログラム開発」に関わりが深く、これを分析することが開発に有用であると判断した。分析の結果、対象者は多職種への理解や認識を深めるというレベルにとどまらず、終末期ケアの実践における行動変容も生まれており、一定の教育効果を確認できた。従って、研修プログラムの設計においては、少人数で意見や価値観の交流を促進する場が活用できることが示唆された。 2つ目は、終末期ケアにおいてソーシャルワーカー(以下、SWer)が担う役割やコンピテンシーを具体的に把握するために行ったインタビュー調査の実施と分析である。医療機関、介護老人保健施設、居宅介護支援事業所、看護小規模多機能型居宅介護に所属するSWer5名を対象としたグループインタビュー法にて、SWerの担う役割など、コンピテンシーに直接関わる内容を調査した。ここで明らかになったことは、SWerは、医療職とは異なる立場で支援することで医療職との間を媒介する役割を担っていたこと、また、本人に対する個別援助よりは環境への働きかけ、とりわけ家族へのサポートと地域への働きかけを行っていたことであった。 以上のことから、平成29年度の研究において、SWerが担う役割とコンピテンシー、ならびに研修プログラム開発の骨子を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度に実施を予定していたものは、研修プログラムの開発に関するものとして、「先行研修プログラムの分析」「研修ニーズの分析」「研修プログラムの作成」、「プレ研修の試行」の4つである。前者2つについては各種調査により実施済であるが、研修プログラム作成及びプレ研修の試行までは至らなかったため、やや遅れていると判断した。 研修プログラムの作成については現在進行中で、おおよそ、小グループで事例を基に意見交換ができる場とすることを中心に、終末期ケアの講義を加えたものを検討している。 試行の場や時期の確保はできているため、準備が整い次第、速やかに実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は2つの研究プロジェクト(1)SWerが担う役割とコンピテンシーの分析、(2)終末期ケアを担うSWer向けの研修プログラム開発、で構成している。この間の研究で(1)は概ね完了したが、(2)が一部実施できていない。(2)については、開発部分ではすでに大枠が出来上がっているため、速やかに試行・実施できるように取り組む。 あわせて、SWerのみを対象とするのではなく、SWerを含む多職種参加型の研修プログラム開発と試行にも着手する。先行研究では、多職種連携・協働を行ううえでの力量を獲得するためには、多職種で共に学び合うことが有効とされていることから、これらの知見も取り込みながらプログラム開発を進める。 また、当初計画には含めていなかったが、研修プログラム試行後には、プログラム評価を行うための量的もしくは質的調査を実施する予定である。これにより、試行版プログラムの本格稼働への道筋を付けたい。
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Causes of Carryover |
(理由) 平成29年度の当初計画では「研修プログラムの開発」を予定するも、そこまで至らなかったため、次年度使用額が生じている。 (使用計画) 研修プログラムは、開発した後に現任SWerを対象に施行予定であり、研究協力者に対する謝金をはじめ、研修会場費、備品購入等の費用に使用予定である。また、研修受講者を対象とした調査を実施する予定であり、そのための通信費等に使用予定である。
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