2017 Fiscal Year Research-status Report
在宅における終末期ケアとの連続性から捉えたグリーフケア
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16K17356
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
中里 和弘 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90644568)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 死別 / 遺族 / 在宅 / グリーフケア / 終末期ケア / 家族の適応 / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
訪問看護サービス利用者の遺族を対象にH28年度に実施した質問紙調査のデータ解析に関して、定期的な会議を開催した。調査結果を報告書にまとめ、調査協力機関に送付した。質問紙が返信された349名中、65歳以上の利用者の遺族307名を分析対象に、以下の多変量解析を行った。 1)終末期に医療者から受けた「患者の意思を尊重した意思決定支援」が遺族の看取りの満足度に影響を及ぼすモデルの検証 分析項目は、患者の意思を尊重した意思決定支援(意思推定支援、本人の視点に立った話し合い、家族の選択の肯定)、本人の希望に沿った最期の生活の達成度、看取りの満足度であった。主成分分析、パス解析、媒介分析の結果、①患者の意思を尊重した意思決定支援項目の構造は安定していた。②本人の希望に沿った最期の生活度の達成度を媒介したモデルの適合度は良好であった。終末期における医療者から家族への患者の意思を尊重した意思決定支援は、家族の患者の希望に沿った最期の生活を達成できたとする評価に繋がり、その結果として看取りの満足度が高まることが示唆された。患者の意思を尊重した意思決定支援は、終末期の重要な家族支援であることが確認された。 2)終末期における家族から患者への感謝または謝罪の言語化に関連する要因 分析項目は、家族から患者への感謝・謝罪の思いの言語化の有無、家族が患者に思いを伝えることに対する医療者の支援、利用者の属性、遺族の属性、死別に関する情報であった。二項ロジスティック回帰分析を行った結果、「言葉の発信あり」では、“女性遺族”、“家族の思いの発信に対する医療者の支援があり”との有意な関連がみられ、それ以外の変数との有意な関連は認められなかった。医療者が家族の性別を配慮した上で、家族から患者への思いの発信を支えることは、家族の思いの言語化の実現に寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた遺族調査のデータに関して、他領域の共同研究者と有機的な会議を定期的に実施することで、学術的意義のある解析及び結果の解釈を行うことができた。分析結果は来年度の国際学会・国内学会での報告を予定しており、論文投稿に向けた準備を進めることができた。また調査結果に関しては、報告書を作成し、調査協力機関に送付することで、情報提供を通じた調査結果の還元を図ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実施した調査データに関して学会発表・論文を行う。また、得られた調査結果を基に、終末期ケアと遺族の適応、グリーフケアとの関連、因果関係について仮説を立てると共に、仮説検証に向けた研究デザインの構築及び調査実施に向けた協議を進める。
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Causes of Carryover |
終末期ケアと遺族の適応、グリーフケアとの関連を検証する調査研究を実施する前提として、横断調査で得られた遺族調査の解析から臨床的意義のある仮説モデルを構築する必要があった。本年度はデータ解析を優先することで、今後計画している調査研究の開始時期を来年に変更したため、調査の実施に掛かる費用を確保した。 今後予定している調査研究を実施する際の費用(発送作業費、郵送費、印刷費等)、調査結果の学会発表・論文投稿に関わる費用(旅費・校正費等)で使用する。
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Research Products
(9 results)