2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17627
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
高橋 亮 奈良教育大学, 教育学部, 特任准教授 (30583249)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 点渦乱流 / 平均場方程式 / 確率論的モデル / 決定論的モデル / 爆発解析 / 解の存在性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では2次元領域における多強度点渦乱流平均場方程式の解の性質を解明する。特に、逆温度に関するパラメータによって解の性質がどのように変化するかを研究する。初年度の研究において得られた主要な実績は以下の①、②である。
①多強度点渦乱流平均場方程式には主に確率論的モデルと決定論的モデルの2種類が存在する。これまでに活発に研究されてきた単強度点渦乱流モデルの数学解析を考慮すると、当該モデルの解の性質を研究する際、その爆発解析は基本的かつ重要となる。このことを念頭に置き、本研究では確率論的モデルに対して爆発解析の基盤を確立した。特に、ディリクレ問題において境界爆発点が存在しないことを証明した。この研究結果は査読付き国際雑誌にて掲載された。
②確率論的モデルと決定論的モデルの相違性を、正2強度かつ円板領域の制限の下で解明した。この研究により新しい2つの性質が得られた。1つ目は、決定論的モデルの解が関連する全域解とは1対1に対応しないことである。この性質は単強度点渦乱流モデルおよび確率論的モデルにはない性質であり、同時に決定論的モデルの解析の困難さを意味することが判明した。2つ目は、確率論的モデルの解が閾値を超えて存在し得ることである。この性質は単強度点渦乱流モデルおよび決定論的モデルにはない性質である。閾値を超えて解が存在し得るか否かは、渦強度および渦強度に係るパラメータによって決定されることが示された。また、単強度点渦乱流モデルと異なり、解が存在するパラメータ範囲の上限付近では解の一意性が破たんし得ることも示された。これらの研究結果については後に査読付き国際雑誌へ投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において、確率論的モデルの爆発解析の基盤と、(限定された仮定のもとではあるが)確率論的モデルと決定論的モデルの相違性を確立できた。特に、後者の性質は当初予期していなかった新しい性質であり、(単強度点渦乱流モデルではみられない)興味深い数学的性質を生み出す源になり得る。また、これらの研究過程から、発展途上ではあるが、解の存在性に関する新たな証明方法が構築されつつある。よって、本研究の今後の展望が開けてきたと考える。以上から、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度において確率論的モデルの爆発解析の基盤を確立したことから、次のステップとして決定論的モデルの爆発解析の基盤の確立を目指す。また、初年度に得られた確率論的モデルと決定論的モデルの相違性が、どのような領域に対して妥当であるかを吟味し、その相違性の発現の根拠を追究する。さらに、領域の種数が正の場合に対して、(単強度点渦乱流モデルも含む)当該モデルの解の存在性の新たな証明方法の構築を目指す。特に、解の爆発が起こり得るパラメータ値での解の存在性を追究する。
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