2016 Fiscal Year Research-status Report
パリティ移行核反応によるニュートリノレス二重ベータ崩壊の核行列要素の検証
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16K17683
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堂園 昌伯 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員 (60616259)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スピン双極子遷移 / 二重ベータ崩壊 / ニュートリノレス二重ベータ崩壊 / 重イオン荷電交換反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
48Caのニュートリノレス二重ベータ崩壊の核行列要素の検証のため、新手法「パリティ移行核反応」を用い、中間核48Scのスピン双極子2-状態を経由する核行列要素成分を実験的に検証することが本研究の目的である。このため、ベータプラス型の(16O,16F(0-))反応とベータマイナス型の(16O,16N(0-))反応を用いる。今年度は、これらの実験に向けた準備として、以下の研究・開発を行った。 (16O,16F(0-))反応に関しては、既に2014年に12C標的を用いたテスト実験を行っており、今年度は、そのデータ解析を確定させた。解析の結果、測定手法の妥当性を確認し、パリティ移行核反応が2-状態に対して優れたプローブであることを実証した。 (16O,16N(0-))反応に関しては、16N(0-)を効率よく測定するための検出器開発を放医研HIMACにて始動させた。16N(0-)は、半減期5.2usで120keVの遅延ガンマ線を放出するアイソマーであり、この遅延ガンマ線を検出することで16N(0-)を同定する。この効率的な測定のため、アイソマー粒子を埋め込むストッパーと遅延ガンマ線検出器を組み合わせた検出器、アクティブストッパーを考案した。これにより、ストッパーと検出器が独立した従来の方法と違って、全立体角で遅延ガンマ線を検出することができる。この際、アイソマー粒子埋め込みによる信号が、遅延ガンマ線信号を検出する上で巨大なバックグラウンドとなるが、HIMACでの実験の結果、CeBrシンチレータとMPPCを組み合わせることで、バックグラウンドを素早く減衰し、遅延ガンマ線を検出できることが分かった。これにより、アクティブストッパーのベースとなる素材が決まった。また、荷電時間変換回路(QTC)+マルチヒット用タイムデジタイザ(TDC)を読み出し系として採用することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、アクティブストッパーの検出器部分の開発を行う予定であったが、当初予定していた素材(GFAGシンチレータ)以外に新しい候補(CeBrシンチレータ)が見つかったので、素材を選定することから始まった。これにより、検出器部分の開発は遅れたが、その分、次年度に開発予定であった読み出し系の部分を進めることができた。全体的に見ると研究はおおむね順調に進展していると判断し、区分(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
アクティブストッパーのベースとなる素材が決まったので、今後は、今年度得られたデータをもとに検出器の仕様を詳細に検討し、検出器を完成させる。また、開発した検出器の性能を評価するための実験を放医研HIMACにて行う予定である。 また、本実験を理研RIBFに課題として申請するために、詳細なセットアップ、統計の見積り等を行う予定である。
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Causes of Carryover |
「現在の達成度」で述べたように、今年度は検出器の素材選びに研究の方針を転換し、当初行う予定であった検出器自体の開発を行えなかったことが、理由として挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度請求する研究費と合わせて、検出器開発に充てる。具体的には、MPPCの購入費、実験を行うための物品費、旅費等である。
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Research Products
(5 results)