2017 Fiscal Year Research-status Report
パリティ移行核反応によるニュートリノレス二重ベータ崩壊の核行列要素の検証
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16K17683
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堂園 昌伯 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (60616259)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スピン双極子遷移 / 二重ベータ崩壊 / ニュートリノレス二重ベータ崩壊 / 重イオン荷電交換反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
48Caのニュートリノレス二重ベータ崩壊の核行列要素の検証のため、新手法「パリティ移行核反応」を用い、中間核48Scのスピン双極子2-状態を経由する核行列要素成分を実験的に検証することが本研究の目的である。このため、ベータプラス型の(16O,16F(0-))反応とベータマイナス型の(16O,16N(0-))反応を用いる。今年度は、これらの実験に向けた準備として、以下の研究・開発を行った。 (1) 東大CNSの新規プロジェクト(OEDO)のために、実験に使用するはずであった理研RIBFのSHARAQビームラインが大幅に改造されることとなった。そのため、今年度はビームラインの改造および復旧を最優先事項とした。コミッショニング実験の結果、ビームラインがほぼ設計どおりの性能を持つことを確認した。また実験では、スペクトロメータにもビームを通し、イオン光学特性に関する詳細なデータも取得した。本実験のセットアップを考察する際の貴重な情報となると同時に、解析に使用するイオン光学パラメータを決めるための較正データにもなるので、このデータが取得できたのは有意義であった。 (2) 二重ベータ崩壊の核行列要素を検証するためには、得られた断面積の結果を遷移強度に変換する必要があり、反応機構をよく知っている必要がある。パリティ移行核反応の反応機構を調べるために、既に取得している12C(16O,16F(0-))反応測定のデータについて反応理論計算(DWBA)との比較を行った。その結果、理論計算が実験データを大幅に過少評価することが分かった。この原因の一つとして、計算に用いている相互作用パラメータの不定性が挙げられる。このパラメータを正しく評価するために、現在、反応機構がよく知られている12C(p,n)反応のデータとも比較しながら、解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SHARAQビームラインの改造/復旧に大幅に時間を取られたために、研究計画で予定されていた(16O,16N(0-))反応用のアクティブストッパーの開発は進まなかった。一方で、ビームラインの復旧実験に合わせて、スペクトロメータの基礎データが取得できたことは大変有意義であった。また、パリティ移行核反応の理論的解析から反応機構、相互作用に関する知見も得られつつある。以上から全体的に判断して、区分(3)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に取得した基礎データをもとに、アクティブストッパーの仕様を詳細に検討し、検出器を完成させる。また、理論的解析に関しては、反応計算が実験データを再現できない問題があるので、その原因の一つと考えられる相互作用パラメータの定量評価を行う。これらの結果を踏まえて、詳細なセットアップ、統計の見積もり等を行い、本実験を理研RIBFに課題申請する。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」で述べたように、今年度はSHARAQビームラインの改造/復旧を最優先事項としたため、当初行う予定であったアクティブストッパー開発が進まなかったことが理由として挙げられる。方針転換により残った研究費は次年度請求する研究費と合わせて、アクティブストッパーの検出器開発費用に充てる。具体的には、MPPCの購入費や、実験を行うための物品費、旅費等である。
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Research Products
(4 results)