2018 Fiscal Year Research-status Report
銀河内外のX線やガンマ線で探る縮退質量スペクトルを擁する素粒子模型
Project/Area Number |
16K17693
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
山中 真人 九州産業大学, 理工学部, 助手 (70585992)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 標準理論を超える新物理 / 荷電レプトンフレーバーの破れ / ミューオン-電子転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の対象である縮退質量スペクトルを擁する素粒子模型をはじめ、素粒子標準理論を超える新物理がもたらす特徴的兆候の1つに荷電レプトンフレーバーの破れを伴う過程が挙げられる。代表的な過程であるミューオン-電子転換の発見を目的とする数々の実験が開始間近となっている。荷電レプトンフレーバーの破れに注目したとき、現状、新物理がどの角度からどれだけ深く切り出されているのか。そして、新物理の検証プローブとして今後手に入るものは何か。宇宙物理や天文学と共に新物理を確立するという本課題の目標を踏まえ、本年度は、これまでのミューオン-電子転換探索実験結果と開始間近の同探索実験感度を重ね合わせることで、荷電レプトンフレーバーの破れをもたらす数々のパラメーターをどれだけ絞り込めるかを定量的に検討した。こういった検討の際、先行研究では理論計算の不定性や、くりこみ効果によるパラメーターのエネルギースケール依存性が十分な形で考慮されていない。本研究では、まず、不定性を無視せずに解析した場合、本当にパラメーターの性質を抜き出すうえで必要な条件を定式化した。この結果とパラメーターのエネルギースケール依存性を計算に組み入れ、かつ、荷電レプトンフレーバーの破れを伴う他の過程も加味したうえで、現状の制限、並びに、将来期待される制限を明らかにした。さらに、より鋭く新物理のフレーバー構造を探り出すうえでミューオン-電子転換探索実験が用いるべき原子核を検討し、リチウムをはじめとする中性子過剰核が有効であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地上実験による相互検証の重要性を鑑み、研究実績に記した課題を進めた。荷電レプトンフレーバーの破れから模型を検証するうえで有益な成果を得ることができたが、洗練していく過程で予想以上に時間を要した。また、私立大学教員への異動に伴い、多くの新規担当講義の用意や回しきれない雑用に忙殺され、新規プロジェクトをスムーズに進める余裕を持つことができなかった。そのため、本年度仕上げる予定であった長寿命荷電粒子の存在量計算が未完成となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、昨年度完遂予定であった長寿命荷電粒子の存在量計算を進めている。順調に進めば、秋以降の国内外研究会にて成果を報告できる。また、それと並行し、縮退質量スペクトルを擁する素粒子模型の宇宙線観測による検証を進めており、年度内投稿を目指している。今年度より、研究に専念できる機関へ異動したため、ここに記した研究の進度加速が可能である。また、異動に伴い、研究に参画を希望する大学院生を味方につけることができたことも、研究遂行を加速させる好材料となっている。
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Causes of Carryover |
購入予定であった計算機の発売時期が遅れ、予定時期に購入ができなかったため。2019年度に当初予定していた計算機を購入予定。
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Research Products
(15 results)