2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17816
|
Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
佐藤 隆雄 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (50633509)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 金星 / 大気 / 雲 / リモートセンシング / あかつき / 地上望遠鏡観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
金星の雲や紫外模様を形成する未知吸収物質は惑星全体の熱入力を支配しており,雲層構造や未知吸収物質の時空間変動の把握は,気候システムの理解に必要な基礎情報となる.本研究課題では,「あかつき」が取得している紫外から中間赤外にわたる撮像データと地上望遠鏡による連携観測データを用いて,金星の雲頂構造と紫外線模様起源の解明を目的とする.当該年度は下記に示す事柄について研究を進めた. 「あかつき」搭載2ミクロンカメラ(IR2)の昼面画像を用いた雲頂における定在構造研究 雲頂高度を可視化するIR2の2.02ミクロン画像を用いて(スーパーローテーションに流されない)雲頂における定在構造を調べた.2015年12月11日から2016年10月30日までに7例の定在構造を発見しており,「あかつき」搭載中間赤外カメラ(LIR)が発見した惑星規模の定在構造(Fukuhara et al., 2017)同様地形起源であることが分かった.定在構造が発生するローカルタイムは昼から午後に集中しており,午前に見えにくい理由が物理由来なのか他のカメラ画像も合わせて調査している. 「あかつき」と「すばる」望遠鏡による連携観測 2017年1月に「あかつき」搭載LIR、紫外カメラ(UVI)と「すばる」望遠鏡搭載中間赤外分光撮像装置(COMICS)による連携観測を実施した.COMICSの撮像データには4日間を通して地形起源と思われる定在構造が存在しており,LIRによる発見を裏付ける形となった.これ以外にもUVIで観測した水平Y字模様がCOMICSの撮像データにも見えており,紫外模様を作り出す未同定吸収物質と雲頂温度模様の物理的関連についても調べていく予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度前半は,「あかつき」プロジェクトの主要メンバーとして「あかつき」の科学観測計画立案や衛星データの品質チェック体制を整えるのに多くの時間を有した.後半以降は,「あかつき」データから大気物理量を抽出するための大気放射伝達コードや反転解析手法を「あかつき」データに合わせて調整してきたが,現時点では各カメラの絶対値校正が途上であることから,上記コード等を用いる必要のある比較的絶対値精度要求が高い研究には着手できていない.そのため,模様形態等の比較的絶対値精度を必要としない研究課題を先行して実施している.
|
Strategy for Future Research Activity |
現在取り組んでいる研究課題をまとめた後,以下に示す課題について取り組む予定である. すばる望遠鏡の中間赤外分光データを用いた雲頂構造の空間分布解明:2017年に取得した分光データから雲頂温度・雲頂高度・雲のスケールハイトを抽出する反転解析手法を確立し,得られた大気物理量の緯度及び地方時依存性について調べる.同日に取得した撮像データに見られる雲頂の微細模様は,何れの大気物理量で説明しうるか明らかにする. IR2夜面データ (1.74, 2.26ミクロン) を用いた雲粒分布の解明:大気窓領域にある2波長の同時データを用いて,雲粒の時空間分布について調べる.解析初期段階ではあるが雲が薄い(厚い)領域では雲粒が大きい(小さい)という大まかな傾向がある.絶対値校正精度を向上させて,より多くのデータから定量的に評価を行う. IR2夜面データ (2.26, 2.32ミクロン) を用いた一酸化炭素分布の解明:大気窓領域にある2波長の同時データを用いて,一酸化炭素の時空間分布について調べる.一酸化炭素は大気運動のトレーサーとなりうるので,一酸化炭素の空間分布とIR2の夜面画像から導出される風速場を比較することにより,雲層下における大気運動を調べる.
|
Causes of Carryover |
当該年度に想定していた公募型地上望遠鏡を用いた「あかつき」との連携観測の一つが不採択となったため、海外旅費として用意していた予算を一部使用できなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今回発生した次年度使用額は、次年度秋にラトビア・リガで開催されるEPSC(欧州惑星会議)及びアメリカ・プロボで開催されるDPS(米国天文学会惑星科学分科会)に参加するための海外旅費として使用する予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Journal Article] Large stationary gravity wave in the atmosphere of Venus2017
Author(s)
Fukuhara, T., Futaguchi, M., Hashimoto, G.L., Horinouchi, T., Imamura, T., Iwagami, N., Kouyama, T., Murakami, S., Nakamura, M., Ogohara, K., Sato, M., Sato, T.M., Suzuki, M., Taguchi, M., Takagi, S., Ueno, M., Watanabe, S., Yamada, M., Yamazaki, A.
-
Journal Title
Nature Geoscience
Volume: 10
Pages: 85-88
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
[Presentation] Mid-infrared spectroscopy of Venus obtained by Subaru/COMICS2016
Author(s)
Sato, T.M., Satoh, T., Sagawa, H., Yamazaki, A., Kouyama, T., Imamura, T.
Organizer
International Venus Conference 2016
Place of Presentation
Merton College, Oxford, UK
Year and Date
2016-04-05 – 2016-04-08
Int'l Joint Research