2016 Fiscal Year Research-status Report
高反応性分子を活用するπ電子系ベルト状分子の創製研究
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16K17873
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
北村 圭 関西学院大学, 理工学部, 助教 (00756695)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高反応性分子 / ベルト状分子 / ポリアセン / イソベンゾフラン / 環化付加反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
イソベンゾフランやベンザインなどの反応性分子は、高度に縮環した芳香族化合物の迅速合成に有用である。本研究は、これまでに蓄積した方法論を応用し、ベンゼン環がベルト状に連なった三次元状π共役分子の合成を目指すものである。その基本戦略は、分子内に電子供与性部位として働くイソベンゾフランおよびキノンなどの電子受容性部位を併せ持つ縮環化合物をドナー・アクセプター型分子とし、その熱的な環形成反応による二量化を利用するものである。 研究開始当初、三環構造からなるドナー・アクセプター分子の二量化により、ベルト状分子の骨格形成に成功していたが、よりリングサイズの大きい多環構造の構築には制限があった。そこで合成ブロックとなる置換イソベンゾフランの簡便な合成法の開発とこれを利用するポリアセン類の合成を検討した。その結果、市販のフタルアルデヒドを出発原料とし、これに対する2種の有機リチウム種の段階的な求核付加を経るアプローチにより、短工程で収率よく目的物を得る合成ルートを見出した。その結果、芳香属性置換基のみならずアルキニル基やアルケニル基の導入も可能であることが分かった。なお、これら一連のイソベンゾヘテロールは特徴的な吸収・発光特性を示し、系統的に比較することもできた。さらに、ドナー・アクセプター型分子の合成を検討した結果、置換イソベンゾフランとベンザインとの反応を逐次的に繰り返すことにより、アセン骨格の伸長が可能であり、様々な置換形式を有する縮環構造を構築することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベルト状分子創製に向け、いくつかの有用な知見を得ることができた。まず、反応性分子として利用する置換イソベンゾフランの簡便な合成法の開発に成功し、アルキニル基およびアルケニル基によりπ拡張した新規π共役分子が合成可能となった。さらに、これらを用いてベンザインなどのジエノフィルとの環化付加反応により、ポリアセン構造の構築を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在までに合成した一連のドナー・アクセプター型分子について環形成反応による二量化を試みる。マイクロ波や遷移金属触媒等を用いた条件を積極的に検討し、効率的な分子構造の構築法を検討する。
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