2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18004
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
奥村 真彦 仙台高等専門学校, 機械システム工学科, 助教 (30756169)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水素 / 水素貯蔵 / 水素吸蔵合金 / マイクロCT / 画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、既存技術の問題点解消による優れた水素貯蔵技術の確立を目的とする。 本研究で使用するのは、水素吸蔵合金と呼ばれる水素と可逆的に結合可能な合金である。特に、LaNi5をはじめとした一部の合金は、温度0-100度、圧力1 MPa未満の下で水素を吸蔵し、水素化物を形成可能である。また、形成した水素化物は、上記範囲内の条件下で水素を放出し、合金と水素に分離する。水素化物の内部では、液体水素を凌ぐ高い体積密度で水素が存在する。そのため、この合金を用いれば、高い体積密度で水素を貯蔵可能である。これらの合金を水素貯蔵に利用する場合、粉砕した後に容器に充填し、その容器内で水素を吸放出させるのが最も簡便である。ここで、水素を吸蔵する前の合金と比較して、水素吸蔵後の合金水素化物の体積は1.3倍程度である。そのため、容器内に充填した合金粒子に水素を吸蔵させると、その粒子が容器内で体積膨張し、容器を内側から押すことが知られている。これにより、容器が大きくひずんだ報告もあり、この力は安全な水素貯蔵の妨げとなるものである。そこで、可視化を中心とした実験により、合金充填層が容器に力を及ぼす過程を詳細に解明し、この力を適切に制御する手法を確立することにより、優れた水素貯蔵技術を確立する。 平成27年度は、直径10 mm程度の合金充填層について、マクロな膨張挙動を可視化する実験装置を構築した。上記で挙げたLaNi5を試料とし、合金充填層が吸蔵した水素量の増加に伴う見かけの体積の増加を評価した。実験結果から、合金充填層が吸蔵した水素量に対し、合金充填層の見かけの体積膨張率が非線形に増加することを確認した。また、合金充填層の3次元構造を今後取得する予定であり、その評価のためのソフトウェア開発を行った。その結果、粒子群の3次元画像を、粒子群を構成する個々の粒子の画像に切り分けることができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マクロな膨張挙動を可視化するための実験装置の構築が完了し、同実験装置を使用した予備実験も実施した。これにより、本格的な実験の実施に目処が立った状況にある。また、今後取得予定である合金充填層の3次元構造について、その評価に必須である3次元画像解析プログラムの構築を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
LaNi5の膨張挙動について、詳細な可視化と膨張挙動の定量的評価を実施する。マクロな膨張挙動を可視化するための装置と基本的な実験方法については既に準備済みである。今年度は実験実施による知見の獲得とともに、より優れた評価手法を模索する。ミクロな膨張挙動については、予定通りマイクロX線CTを用いて合金充填層の充填構造を撮像し、その3次元像を解析することで、定量評価を実施する。3次元像の解析のためのプログラムは現在構築を進めている段階である。
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Causes of Carryover |
今年度は合金充填層のマクロ可視化に注力したため、3次元像の取得とその評価については実施されていない内容がある。そのため、そこに係る費用を次年度使用額としている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において、3次元像の取得のための移動旅費・設備使用料、3次元像評価のための計算機購入に充当する予定である。
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