2016 Fiscal Year Research-status Report
栄養塩欠乏による油脂生産能向上を利用した下水処理水での高品質微細藻類培養
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16K18178
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
高部 祐剛 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70625798)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 土着藻類 / 下水処理場 / 栄養塩 / エネルギー利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、培地中無機態窒素濃度変化が土着藻類での油脂生産に与える影響を把握することを目的に実験的考察を実施した。土着藻類中有機物組成を経時的に測定するために、培地中pHを指標としたCO2添加機能を備えた30 L規模の大容量室内培養装置を構築した。また、短時間の培養で培地中無機態窒素を枯渇状態に導くことを想定した上で、対象とする下水処理水を、含有窒素濃度が相対的に低く、また、土着藻類培養に関する知見が少ないオキシデーションディッチ(OD)法処理水とした。回分条件での培養実験において、CO2を添加することで主として無機態窒素が枯渇する条件を作り出した。培地中の無機態窒素が約1 mg-N/L以下になることで、土着藻類中脂質含量が5%から10%に増加すること、この油脂含量増加は1日という短期間で生じていることを示した。また、無機態窒素枯渇条件下での長期的な培養はさらなる油脂含量増加を生じさせないこと、射光時間が油脂含量に影響を与えないことが分かった。このことから、培地中の無機態窒素を1 mg-N/L以下に保つことで高品質かつ安定した土着藻類培養が達成できる可能性が示唆された。今後は、土着藻類中油脂蓄積についてモデル化を図る。また、一部実験を前倒しした上で、異なる3処理場でのOD法処理水を用いた培養実験結果に基づき、優占藻類種の情報を含む土着藻類含有エネルギー量データの蓄積を行った。以上、実験系の構築、ならびに、無機態窒素枯渇に起因する土着藻類中油脂蓄積の時間的応答を明らかとし、栄養塩の枯渇を活用した高品質微細藻類培養技術開発に向けた土台を築いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培地としてOD法処理水の利用、一部実験の前倒しなど、一部当初計画から変更があったものの、当初計画では室内実験による油脂蓄積特性の解明を予定しており、大容量室内培養実験装置を用いた回分実験により実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、栄養塩欠乏による油脂生産能の向上についての汎用性の検討、ならびに土着藻類含有エネルギー量データベース構築を実施する。
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Causes of Carryover |
学生等による実験補助への謝金を当初計上していたが、実験補助の実施に至らず、差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越し、次年度にて執行する。
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